次の日の朝。
みかどが朝ごはんのしたくをしていると、目を覚ましたささらが元気よくあいさつをしてきた。
「みかどさん、おはよー!」
「おー。おはよー」
みかどはささらの方を振り返らずに、無気力な顔で答えた。
昨日の晩から食い手が一人増えてしまったため、ご飯をつくるのも一苦労なのだ。
「あ、朝ごはんのしたく?手伝うよー」
そんなみかどの不機嫌な様子に気づいているのかいないのか。
ささらはみかどの手元をひょっこり覗き込むと、笑顔でいった。
「かしてー」
そしてみかどの持っている包丁を借りようと、手を差し出す。
この1年間、一人で家事をやり続けてきたみかどにとって、何とうれしい言葉であることか。
(そうだよな、こいつだって女なんだから、家事くらいやるんだよな!)
そして密かにガッツポーズ。
これからはささらに少し家事をまかせられると思い、心底安心していた・・・矢先に。
「うがあッ!!」
「ど、どーした!?」
ささらの妙に生々しいうめき声。
みかどは驚いて彼女の方を振り返った。
「指、切っちゃった・・・」
ささらのその指からは、滝のように血がどくどくと流れ落ちている。
本人痛さをガマンして笑ってるが、傷は相当深いみたいだ。
「血・・・スゴイぞ・・・。ま、まぁ、いいや。野菜切るのは俺がやるから、ここにある食器、テーブルに出しといて」
「すみません・・・」
ささらは申し訳なさそうに謝ると、今度はそ~っと注意深く皿を手に持ち、運び始めた・・・が。
「ぎゃー!!」
ガシャーン!!!
「ガシャーン・・・?」
その音に、みかどはイヤ~な予感で不安たらたら。
「ゴメンなさい!食器わっちゃったー!!」
ささらは食器のかけらを拾い集めながら、慌てて謝った。
しかしみかどの額にはすでに青筋あり。
ゴンっ!
「殴るぞ。ったく・・・」
みかどはプンプン怒りながら、再びキッチンへ戻る。
「もう殴ってます・・・」
ささらちゃんの頭には大きなタンコブ。何かと生傷が絶えない。
「じゃあ、フライパンあっためといてくれ。今度は失敗すんなよ」
「うん!気をつける」
ささらは気合をいれてフライパンを握り、ガスコンロの方へと向かった・・・・が。
「だ――――――――――――ッツ!!!!!」
「今度は何だよッツ!!」
みかどがささらの方を振り返ったとほぼ同時だった。
チュド―――――――――ンッツ!!
ピュア家大爆発。
ただコンロの火をつけただけで・・・。

「兄ちゃんおはよー」
その衝撃で目がさめたのか、真っ黒こげでも平気な顔をしているピュアくんとぽち。
「おはよー・・・」
みかども真っ黒こげになって、返事を返した。
その後ろには、またもみかどさんになぐられて、頭に大きなこぶを作って倒れているささらちゃんの姿があった。
そして朝食の後。
「さぁてと、昼メシの材料とりにいかなきゃな~」
みかどは立ち上がって、大きなかごを取り出した。
するとピュアくんと食後のお茶をしていたささらが、元気よく手をあげていう。
「あ、みかどさーん!あたしいってくるー!」
それを聞くと、みかどはひきつった笑みを浮かべてささらに返した。
「ムリしなくってもいいんだよぉ、ささらちゃ~ん・・・?」
もう動くんじゃねぇ、このアマといわんばかりの顔だった。
みかどの怒りがず~んと響いてくる・・・。
そんなみかどを相手に、ささらは苦笑いして言った。
「あ、あの、あたし家事とかってあんまできいからさ、せめてそのくらいは手伝わせてよ。ネ?」
朝の失敗を、彼女なりに気にしていたみたいだ。
それに気付くと、みかどは小さくため息をつき、そして材料を入れるかごをささらに渡した。
「わかったよ、いってこいよ」
「わ~い、ありがとー!」
ささらは嬉しそうにそのかごを受け取った。
そしてふわりと宙に浮かび上がると、早速出かけようとする。
「じゃあ、いってきま~す!」
ささらは笑顔でピュアくんたちに手をふった。
「ゴメンなさい!ただいま!」
しかし2分もたたないうちに、ささらは勢いよく扉をばんっとあけて帰ってきた。
「何だ?どーした?」
「何とってくればいいのか、聞くの忘れてて・・・」
ささらちゃん、また苦笑い。
もう、お約束とゆーかなんとゆーか・・・
「頼みますよ・・・」
これからの自分の苦労を思うと、気が重くて仕方ないみかどであった。
「え~っと、大根大根・・・」
結構森の奥までやってきたささら。
そしてみかどからもらったメモをじ~っと見つめる。
「商店街においてある大根じゃなくて、木になってる大根をとってこい・・・?・・・なにそれ?」
そのメモの片隅には、木になってる大根は、サラダにするとフツーの大根よりおいしいなどの説明がかいてある。
「みかどさんって、結構こだわるんだなぁ・・・」
そんなことを考えながら、フヨフヨ浮かんでいると、早速、目の前に大きな木が現れた。
そしてその枝には無数の大根がなっている。
「あ、あった」
ささらはその木の枝の方へと、ふんわり浮かんで近づいてみる。
そして枝から大根をもぎ取り、背中に背負っていたかごへいれる。
「よし、これで大根はオッケー。それにしても、大根って、木になるものだったっけ???」
それじゃあ大根っていわないよネ。
「変な島だなー・・・・・・」
そして木の枝に腰掛けて、ささらはピュア島を見渡してみる。

あたたかい風がささらの長い髪をなびかせた。
その気持ちよさに少し酔っそして枝から大根をもぎ取り、背中に背負っていたかごへいれる。
「よし、これで大根はオッケー。それにしても、大根って、木になるものだったっけ???」
それじゃあ大根っていわないよネ。
「変な島だなー・・・・・・」
そして木の枝に腰掛けて、ささらはピュア島を見渡してみる。
あたたかい風がささらの長い髪をなびかせた。
その気持ちよさに少し酔って
「まぁ、いっか」
そんなくだらないコトなんて忘れてしまう。
「まぁ、いっか」
そんなくだらないコトなんて忘れてしまう。
「-・・・?
ささらが地面に足をつけたトキだった。
近くの茂みから、人の話声がする。
一瞬動物たちの誰かかと思ったが、その割にはずいぶんとしっかりとした口調で話している。
・・・男の声だ。
2人の男の声がする。
ささらは声のする方へ足を向けた。
そしてその様子を覗うように、こっそりと木の陰からその声のする方向をのぞきこんでみる。
「!」
ささらは驚いた。
(人間だ・・・)
この動物だらけの島に、人間を2人も見つけたのだ。
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