【第1部】第3話 北西にいるはベストフレンズ

 ささらは焦っていた。
 もし、目の前にいる男2人が、バロック団員だったとしたら。
 自分がみかどを連れ戻すのに失敗したから、また新しい刺客をヴァーストが送ってきたのだとしたら。


(大変!ピュアくんや動物たちを非難させなきゃ!)
 ささらは急いでその場をさり、みかどに報告にいこうとした・・・が、


(でもあたしが昨日来たばっかなのに、今日新しい刺客を送ってきたりする・・・?)
 しないと思う。


(まさか、あたしがバロック団を裏切って、ここに住み着くってコト、ヴァースト総帥には読まれてたのかな。だからあの2人をあたしの監視役として・・・)
 頭がパニックしているようで、なんだかいろいろな考えがぐるぐる交差する。


 ささらはよくその2人の男の顔を見てみた。
(・・・悪い人たちではなさそうだケド・・・)


 一人は金髪の美青年。
 キツそうな顔つきはしているけど、悪人には見えない。


 もう一人は黒髪の青年というよりは少年。
 部分的に黒い髪がどういうしくみなのか気になるところだったが、こちらにいたってはいかにも優しくて人が良さそうな顔つきで、悪人になんて見えない。


 そして年齢的には二人ともささらと同じくらいだった。


(あぁ、でも、見た目で判断しちゃダメよネ・・・)
 木の陰でみかどたちに知らせにいこうかいくまいか、ウロウロするささら。
 結構優柔不断・・・?




「おい、そこの大根背負ってる小娘」
 なんてことやってる間に、二人に見つかってしまう始末。
 金髪のほうの青年に声をかけられ、ささらは気まずそうに笑ってとりあえずあいさつをした。
「あ、あら、やだ、どーも」
「さっきから何やってんだよ」
 初めて見るささらを警戒してるのか、金髪の青年はささらに怪訝そうに尋ねる。
「ま、まぁ、いろいろ・・・」
 一方ささらもまだ何者かわからない彼らを警戒して、動作がぎこちない。


「見たことない顔だな、キミだれ?」
 すると今度は黒髪の少年の方が尋ねてきた。
 こちらは比較的友好的な雰囲気だ。


 そしてその質問を聞いて、ささらは彼らがバロック団員ではなく、この島の住人だと確信する。
「あ、あたし風使いのささら。昨日この島にきたばっかなの」
「昨日?もしかして、きみってあのバロック団とかってやつ?」
「もとバロック団員ってトコかな」
「もと?」
「うん、今はピュアくんたちと一緒に住んでるの」
 それを聞くと、金髪の方の青年は顔をしかめた。


「ピュアくんと住んでるんだ」
「うん」



 ささらと黒髪の少年の間にわってはいり、金髪の青年はつっけんどんにささらにいった。
「大根娘、悪いことはいわねーからとっととこの島から出てけ」
「えっ・・・?」
 金髪の青年のいった言葉よりも、思わず「大根娘」に気をとられてしまうトコロだが、あえてそこは気にしないようにして、ささらは尋ねた。


「な、なんで?そもそもあなたたちって誰なの?」
「番人だよ」
 金髪の青年、即答。
 しかし突然聞きなれない単語をいわれ、ささらは困ってしまう。
「番人???」


「ピュア島西の番人で、植物使いのきのえ」
「ピュア島北の番人で、水使いのあおいー」
 きのえは相変わらず怒り顔で、あおいはにこにこ笑って自己紹介をしてくれた。
 それにしたって・・・


「番人って何の?こんなところで何するの?」
 ささらは尋ねた。
 それに答えてくれたのは、なんかエラそうな態度をとるきのえ。


「あのなぁ、この島は唯一の『聖域』なんだよ。つまり、よそ者が入り込んじゃいけねーんだ。土地が汚されるからな」
「聖域・・・?」
「そう、よそ者はみかどがはじめてだケド、そういうやつらを追い出して、島を守るのが俺たちの役目なんだよ」
 素直に話をきいていたささらは、自分がこの島にいることに対して、再びとまどいを感じた。
 たしかに喋る動物たちが幸せに暮らすこの楽園に、よそ者がはいってきたら、それを乱すことも十分ありうる。


「でも、それってよそ者が悪い人だった場合だろ?」
 きつく話すきのえをなだめるように、あおいあは優しくいった。
「大丈夫。それほど厳しい決まりじゃないよ。それって昔からの言い伝えでさ、きっと昔の人はよそ者にこの島をとられるって思ったんだろ」
 そしてささらに優しく笑いかけた。
「ささらちゃんもみかども、そんなことしそうに見えないし」
「あ、ありがと」
 あおいのおかげでその場の雰囲気もやわらぐが、きのえの方はそれを許す気もないようで、きつい口調であおいにいった。


「あおい!大根娘はともかく、みかどは青の一族なんだぞ」
 名前をなのったにもかかわらず、きのえはささらのことを「大根娘」と呼ぶので、ささらちゃんちょっとキレたらしい。
「あたしはささらだってば。ゴルフウェアーのお兄さん」
「ケンカ売ってんのか・・・?」
 もちろん、きのえのきてる服はゴルフウェアーなんかではないが、見えなくもない。
 やばい、険悪なムードが広がりつつあります。


 しかしそれをやわらげてくれたのは、またもあおいくん。・・・しかし
「そういえば、きのえくんの服、ゴルフウェアーににてるー!」
「にてるよねー!」
 ささらとあおいはそろってきゃははと楽しそうに笑う。


 -・・・きのえくんのプライドは傷ついた。


「トム、ボブ」
 そして冷たい声でそういうと、彼の背後からスーパー●リオにでてくるパック●フラワーのような花が2つ現れた。
 こちら植物使いのきのえくんのペット、動く花。
 そのするどいきばはスゴイ凶器になる上、ケッコー不気味。
「あぁ!ゴメンなさい!すみません!!」
 しかしトムとボブは容赦する気配なし。
 あおいくんはトムとボブにおっかけられるハメになってしまいました。




それを無意識に無視して、ささらちゃんは話を続ける。
「ねぇ、みかどさんが青の一族って何のこと?」
 しかし、相変わらずきのえはささらにつれない。
「おまえには関係ねーコトだよ」

そういってプイっとそっぽをむいてしまった。
 ささらがワケがわからず困っていると、うまくトムとボブから逃げてきたあおいが、彼女に話し掛けた。
「ささらちゃん、そのことには関わらないほうがいいと思う」
「あおいさん、あの、後ろ」


 その内容はちゃんときいていたが、それよりもあおいの後ろにスタンばってるトムとボブの方が気になったので、親切に忠告してあげた。
「ぎゃー!!」
 そしてまたトムとボブに追いかけられるあおい。合掌(チーン)


「じゃあ違うコト聞くケド、みかどさんも追い出さなきゃいけないんでしょ?みかどさんって1年前からここにいるのに、まだここにいるよね」
 ささらがきのえに聞くと、きのえはひっじょ~に気まずそうな表情をした。
「追い出そうとしなかったの?」
「だから!関係ねーっつってんだろ!」
 どうやら聞かれたくなかったことだったようで、きのえは怒ってささらにいった。
 急に怒られてしまって、ささらはビックリしてしまったが、またトムとボブから上手い具合ににげてきたあおいが、ささらに説明してくれた。


「何度も追い出さそうとしたんだケド、何度も負けちゃったんだよねー」
 いやーまいったなーといわんばかりに、あははと笑うあおい。
 それをいいたくなかったからささらに怒鳴ったとゆーのに、あぁ、きのえくん早くも真相はバレちまったよ。


「他の番人も負けててね、みかどって強いねー」
「うん、そりゃバロック団ナンバーワンだもん。ところであおいさん、頭から血でてるよー」
 描写し忘れましたが、あおいはさっきからトムとボブに追い掛け回され、ついに頭をかじられてしまったようだ。


 しかしプライドの高いきのえにとって、自分の失態をあっさり他人によってバラされてしまうことがどんなに屈辱的であることか。

きのえは自分の武器である、つたでできたムチを取り出し、あおいの首にまきつけた。
「貴様はさっきからいちいちいちいちよっけーなエピソードを・・・・(怒)」
 そしてそのムチをビンっと引っ張ると、あおいはぐえっと苦しそうにじたばたしながら、謝る。
「あぁ!!すみません!許してください!!苦しいです!!」


 それで・・・。


「ねぇ、2人はここに住んでるの?」
「べつに」
 ささらが尋ねると、またもきのえはつんけんしながら答えた。
「野宿だからなぁ、とくに住むトコは決まってないけど・・・」
 そしてまたきのえの答えてくれなかったことを、説明してあげるあおい。
「けど?」


「ろくな食べ物がないからよくおなか壊すんだ」
 またも自分の失態をあっさりバラされ、きのえは思わずズッコける。
「え、でも、商店街とかあるじゃない」
「材料はともかくね、調理する道具がないから、生のままなんだよ。動物たちはそれでいいかもしれないケド、僕らはね」
 あおいはささらに説明しながら、あるエピソードを思い出した。
「そうそう、きのえくんなんてこないだ、毒キノコ食って死にかけちゃうしさー」
「えー、大変だったねー!」
 学習能力がないというかなんというか・・・、きのえくん、爆発。


「消えろ」


 きのえが冷たくそういうと、トムだかボブだかが(ナレーターにもどっちがどっちかわかってない)ついにあおいくんをあぐあぐと食べ始めてしまった!!


「そんなことしたらあおいさんがカワイそうでしょ!植物使いのクセに毒キノコ食って死にかけたゴルフウェアーのお兄さん!」
 あおいをトムだかボブから救いだし、ささらはきのえにワンブレスでいった。
「マジでケンカ売ってんのか・・・(怒)」
 またもあたりに険悪ムードがムンムン。


 きのえはささらを睨みつけていった。
「とにかく大根娘!おまえにつきあってるヒマはねーんだ!」
「何よ、ヒマそうにしてたくせに」
 しかしささらちゃんの方も、もう怒ってばっかりのきのえにいい印象は抱いていないらしい。
「うっせーな!!」
 しかも図星。


「おまえもみかどと一緒に住んでるなら覚悟しとけ!」
 そしてきのえはつたのムチをビンっと引っ張った。
「いくぞ!あおい!」
 その先には首につたのムチをくくりつけられたあおいが、ひきずられていく姿があった・・・。
「・・・」


 せっかく人間を見つけたというのに、敵意を抱かれなければならないなんて。
 ささらは困ってしまった。
 できることならこの島で一緒に暮らしていくのだから、仲良くしたい。
 しかしあのきのえの態度を見てればま~ずムリでしょう。


「あ、そうだ」
 そこで、ささらはひらめいた。

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