【第1部】第4話 南で燃えるは友情パワー

 ピュア島に来てかれこれ1週間。
 ささらは、毎日朝、昼、夜ご飯材料を森の中へ探しに行き、商店街でおすそわけしてもらっているので、もうピュア島の動物さんほとんどと知り合いになってしまった。
 おそらく、ささらが知らない動物は、ほんとうに数えるほどになってしまっただろう。
 たくさんの友達が増える中、思うのは人間の友達も欲しいなということ。
 そこで・・・。


「ねぇ、この島にいる残りの番人さんって、どんな人?」
 お昼ごはんの材料集め中、きのえとあおいのいる北西にきたので、ちょっとより道中のささらちゃん。
 早速二人に聞いてみた。
「え・・・、残りの番人・・・・」
 しかしきのえもあおいも、すっごく気まずそうな顔をする。
「うん、南と東の番人さんだっけ?せっかくだからお友達になりたいなーって思って♪」
「お、お友達・・・・ねぇ・・・」
 きのえとあおいはどうしようと言わんばかりの顔で、お互いの顔を見合わせた。


「南の番人はくれない。東の番人はひかりってヤツだ」
 とりあえず、きのえは軽くその2人の説明をしてくれた。
 しかしどー見ても紹介したくなさそうな顔をしてる。
「東の番人は俺たち4人のリーダーで、南の番人は俺達の中で一番強い。東と南に行けば、まず会えるだろ」
 これをきいて、きのえくんとあおいくんが下っ端だなんて思わないでやってください。


「ホント?じゃあ行ってみるネ!」
 と、ささらがニコニコで言うと、きのえとあおいはローテンションでささらに忠告した。

「いや、ささら、どーしてもっつーんなら、とめねーケドな・・・」
「うん、あんまり知り合いになるコトはすすめられないな・・・」
「???ふーん・・・」


 それを聞いて、一瞬、そんなに変な人なのかとためらいもしたが、そこまで知り合いにさせたくないのなら、紹介なんてしないだろう。

 この小さい島で供に暮らす人間ではないか。
 仲良くなりたい、純粋にそう思って、ささらは南と東の番人を探すコトを決めた。



 3日後・・・。


「まだ見つからない・・・・」
 3日間、南と東のそこら中を探してみたが、たくさんの動物にはあったけれど、人間にはまったく会わなかった。
「もう3日も探してるのにな~・・・」
 そんなコトを呟きながら、森をでてみると、目の前には細長い川が、遠くの海のほうへと続いていた。


「あ、これは噂のうちから10キロも離れた川!」
 そのとーり。
「こんな遠くまで来ちゃったんだ~」
 そして辺りを見回してみると、ふと視界に入った人為的に作られたある物。
 石が輪になるようにいくつかおいてあり、その中心にはたくさんのこげた枝。そして5,6本の棒が立っていてその下には魚の骨が散らばっている。
「誰かが魚でも焼いたのかな・・・」
 ささらはそこに近づいてみて思った。


(でも、動物たちはこんなコトするかな。仮に動物たちが作ったとしても、ずいぶん丁寧に作られてる・・・)
 ささらちゃんの推理タイム(チャーンッチャッチャラララーン♪チャーンッチャッチャラララーン♪チャーンッチャッチャラララーン♪チャーンチャーン♪←名探偵コ●ンのテーマ)
(みかどさんが水をくみにきたとしても、こんなトコで食べるはずもないし、きのえさんたちがこんなトコまでくることもないだろうし・・・)


 つまり
「くれないさんかひかりさんって人だ!ってコトは、この辺にいるのネ!」
 ちなみにピュア島内を結構ウロウロしていたので、ここが南か東かわからなくなってしまっている。
 ささらはそうとわかると、早速あたりをフワフワ浮かびながら見回してみたが・・・


「どこにいるのかなぁ・・・」
 人の気配など、どこからもしなかった。
「もうどっかいっちゃったのかな?」
 川の向こう岸にも、森への入り口がある。
 わりと茂みなどが多いところなので、どこかの影にいるかもしれない。
 ささらは木の陰や草むらなど、探せるところをかたっぱしから探し始めた。


 ささらが辺りを探し回る中、実はたくさんある木の中の一本の陰に、その魚を作って食べた張本人は隠れていた。
 突然見知らぬ女の子がやって来た上に、自分のコトを探しているので、どうしたらいいのかわからなくなってしまったらしい。
 そして思わず隠れてしまう始末。


 わりと小心者なこの青年。
 切れ長な目をしていて、女性のようなキレイな顔つきをしている。
 髪は黒々ツヤツヤ。
 真っ白なマントをまとって、番人らしい格好ではある。
 しかしこのおどおどした態度はどうしたものか。
 あたりの木陰や茂みを片っ端から探しているささらに、じきに見つかってしまうコトくらいは、本人にもわかっている。
 しかし今、どこかへ逃げ出そうものなら確実に見つかるだろう。
 ここは自ら名乗るべきだろうか。
 しかし今、これだけ動揺している青年に、そんな勇気はなさそうだ。


「あれ?」
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・見つかった。
「こんにちは、こんなトコロで何してるんですか?」

 自分を見つけたその少女は、にこにこ笑顔で話し掛けてくれた。
 ここは笑顔で答えるべきだろう。


 ・・・・・・・・・・・・・なんて?
 「隠れてました」と?
 冗談じゃない。


 いろいろな考えが頭の中で飛び交う中、青年のとった行動は・・・



サッ!


 と、もう一度木陰に隠れなおした。


「あ・・・あのぉ・・・・(汗)」
 青年の奇怪な行動にとまどいつつも、とりあえずささらはその青年に話し掛けてみた。
 しかし木陰から聞こえてくるのは大きな大きな深呼吸。



すーはーすーはーすーは・・・・・。


「大丈夫かな・・・」
 本当に。


 その深呼吸がおさまってきた頃、ささらは彼を刺激しないように優しく話し掛けた。
「あの、あなた、番人さんだよね?どこの番人さん?名前は?」
 しかし、意外も意外。
 その青年の睨みとともに、きつい言葉が返ってきた。


「あなた、勝手に人の領域に入ってきて、名乗りもせず、その上私の名前聞くんですか?」
「へっ・・・?」
 先ほどまでのおどおどしていた様子の彼とは変わり、。突然つっけんどんな態度になってしまった。
(何何何・・・?何で急に怖くなっちゃったの・・・???)
 ワケがわからず、今度はささらがおろおろしてしまう。


「あ、あのゴメンなさい・・・」
 とりあえず謝ってみる。
「ところで、あのー・・・」
 そして気を取り直して、話し掛けてみるコトにした。
 彼と友達になる目的でこの場にやってきたのだから。
 けれども、よく考えたら話題を何にも考えていなかった。
「えーっと、そのぉ・・・・」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・沈黙。
 しばらくの沈黙の後、青年のため息が聞こえた。
「いつまでそこにいる気ですか。用がないなら帰ってください」
 そして冷たく突き放されてしまう。
 あまりにも青年が自分をつっけんどんに扱うものだから、ささらも少々ムっとしてきた。


「用があるからここにいるんです!」
「何の用があるんですか!」
「ご飯何食べてるんですか!」
「魚です!!」
「それだけ!?」
「そうですよ!じゃあなんですか!?あなたがご飯持ってきてくれるとでもゆーんですか!!」
「そぉよ!!」


「???????」
「・・・・・・・・・?????」


(しまったッ!!)


 あまりにとんとん拍子に話がすすんでしまったので、お互い我に返り、あらためて今の会話を思い返してみる。
 何と変な会話であることか。


(何ご飯のコトなんて聞いてるのあたし!バカじゃないの~~!!??)
 きのえとあおいにほぼ毎晩ご飯をもっていってあげているので、ささらのの中で、番人=ご飯という式が、成り立ってしまったらしい(バカな)


 しかしここまで来て、ひっこみがつかなくなってしまったのかなんなのか、
「と、とにかく!今日の夜!もってきてあげますからネ!!」
 こんな決めゼリフをはいてしまう始末。
「待ってなさいよ!」
 そういってフワリと体を中に浮かせ、ピュア家の方へと向かうささら。
「・・・なんなんですか、あの子は・・・」


 結局、変人扱いされてしまうのは、ささらのほうになってしまいました。

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