【第1部】第4話 南で燃えるは友情パワー

 その夜、いつものようにきのえとあおいにご飯をもっていってあげるささら。
「いつもいつもありがとねー」
 あおいは笑顔でささらから夕飯ののったお盆をうけとった。


「ううん、全然」
 ささらも笑顔で答えると、きのえに渡すおぼんの下からもう一枚、重ねてあったおぼんを取り出した。
 そしてきのえとあおいのおぼんにのっていた、いくつかのおかずをそのおぼんにうつす。


「あのさ、すぐ戻ってくるから、食べ終わったら食器、この辺においといてくれる?」
「え?どっか行くの?」
「うん、ちょっとネ。じゃあ、急ぐから」
 そういってささらはさっさと空を飛び、南の森の方角へと飛んでいってしまった。



「何かあったのかな・・・」
「さーな」
 あおいの言葉に、きのえは興味なさげに答えた。
 しかし、ふと、あるコトに2人は同時に気付いた。


「お、おい!今ささらのヤツ、俺たち以外の夕飯持ってたよな!?」
 きのえは慌ててはしをおき、あおいの方をふりかえる。
「持ってた!しかも今、南の方へ飛んでいったよネ!!」
 同じく、あおいもはしをおいてきのえの方を振り返った。
 つまり、南の番人に会いに行くのだというコトが、容易にわかる。


 しかし、きのえとあおいにとっては、ささらが南の番人の所へいくのは、とても一大事らしい。
「大変だー!きのえくん!!今すぐおいかけよー!!」
「おー!!」


 しかし空を飛んでいったささらははるか遠方に。
 おいつくのには時間がかかりそうだ・・・。




 一方、先ほどの川べりについたささら。
「えーっと、あの人・・・くれないさんだか、ひかりさんはどこかなー?」
 ささらにはまだここが南なのか東なのか、わかってないらしい。
 ちょっと辺りをキョロキョロ見回しただけで、南の番人はすぐに見つかった。


「あ、いたいたー!」
 ささらはうれしそうに彼のもとへと飛んでいった。
 南の番人-めんどうだからもう、くれないと呼びます。-はささらのその声に驚き、肩をびくつかせた。


「び、ビックリした・・・、あなたは・・・」
「あぁ、名前、いってなかったネ。ささらっていうの」
 少しとまどい気味なくれないに、ささらは相変わらず笑顔で話し掛けた。
「何しに来たんです・・・?」
「ご飯持ってきた。昼間いったでしょ?」
 くれないも、きのえやあおいと同じく、食べ物には困っていた。
 その言葉に反応しないワケにはいかない。
 そしてささらの手には、温かい家庭的な料理(作:みかど)


「持ってきたって・・・、あなたどこに住んでるんですか?野宿・・・ではなさそうですけど・・・」
「あぁ、うん。あたし、ピュアくんたちと住んでるんだ」
「なるほど・・・そーゆーコトだったんですか」
 何故この島に見知らぬ女の子が住み着いていたのかも、こんな家庭的な料理を作れたのかも(だから作ったのはみかど)、ピュアくんたちとすんでるとなれば納得である。

 「・・・まさか、本当にもってきてくれるとは思いませんでした」
 くれないは思わず、笑みをこぼす。


 初めてみた彼のおちつきのある表情に(・・・)、ささらも少し調子を落として尋ねてみた。
「食べてくれる?」
「えぇ、いただきます」

 そう答えられ、ささらは安堵のため息をもらした。


「あぁ、よかった。食べてくれなかったらどうしようかと思っちゃった」
 笑顔でふるまってはいたものの、多少は不安もあったようだ。


 やっと自分に気を許してくれたくれないに、ささらも少しの緊張をといて、笑顔でお盆を渡した。
「このご飯ね、あたしが作ってるんじゃないの。だから毎日持ってくるのは無理かもしれないケド・・・」
「えっ、今日だけじゃなかったんですか!?」
 驚いて尋ねるくれないに、ささらは相変わらず笑顔で答える。
「うん、もって来れるなら、毎日もってくるよ」
「えー!!」
 と、今度はくれない、妙にハイテンションになって喜び驚く。


 そしてささらの手をぎゅっとにぎり、涙をハラハラ流しながらいった。
「ささらさん・・・、ありがとうございます・・・!!」
 まさか泣くほど喜ばれるとは思わなかったので、ささらは少しひいてしまう。
「い・・いいえ・・・。そんなに感動しなくても・・・」
「しますよ!!」
 ささらの言葉をさえぎり、くれないは独白モードに突入した。


”実は私、生まれてから19年間、一人も友達いないんです・・・!こんなに優しくしてくださったのは、あなたがはじめてです・・・!!”


「さ、さいですか・・・」
 すっかり陶酔して告白されてしまい、今度はささらちゃんがおされる側になっております。
「まぁ・・、この島、人少ないし、友達は作りづらいよネ。でも~、きのえさんとかあおいさんは・・・」
 ささらが話し掛けている真っ最中だった。


 -悲劇は起こった

「がはぁっ!!」


「どわぁああああああああああッツ!!???」

 吐いたー!!くれないが血を吐いたーッツ!!!


「どっ・・どーしたの!?急に血なんか吐いて!!!」
 ささらはなおも苦しそうにむせるくれないの肩をさすってやる。
「ぐふっ・・・だ・・大丈夫です・・・・・・」
 絶対ダメだと思う・・・!!!


「私、小さな頃からこの正体不明の病気を患ってましてねぇ・・・。しょっちゅう血ィ吐くもんだから、人が気味悪がってよらなくて・・・だから友達がいないんですよ・・・」
 な・・、なんて気の毒な・・・。
「で、でも、小さな頃からこんなに血ィはいてて、大丈夫なの・・・?」
「えぇ・・・、吐くだけですから・・・、すぐに治りますし・・・。一時的な負担は大きいけど、そこまで体に影響するものではないようで・・・」
 なかなかシビアな人生を送っているみたいです・・・。


「でも・・・おかしいですねぇ。毎日ちゃんとコレやってるんですケド・・・
「これって・・・」
「きのえさんからもらった薬です・・・」
 くれないはそういって、ふところから薬のたくさん入ったビンを取り出した。
 それを聞いて、ささらはちょっとひっかかる。
「きのえさんが・・・?そんな優しいコトする人だっけ・・・?」
 ささらの中で、きのえくんはかなりの悪人に成り下がっているらしい。


「彼、植物使いでしょう・・・。薬草からつくってくれたらしいんですよ・・・」
 くれないはビンから薬を取り出し、飲もうとした。
 くれないがそれを飲もうとしている間、ささらはそのビンを手に取り、じ~っと見つめてみた。
 ビンにはラベルがはってあり、注意書きが丁寧にかいてあるが・・・


「のっ飲むなー!!コレ吐血促進剤だーッツ!!!」


「えぇッツ!!!???」


 しょーげきの事実が!!!
 くれないは慌てて薬を飲むのをやめる。
「ど・・どーりで日に日に具合が悪くなると思ったら・・・」
「ビンに大きく書いてあるよ」
 ささらにそう言われ、改めてビンの外側を見てみると
「あ、本当だ」
 大きく「吐血促進剤」とかいてあった。
 どうやって作ったのかとか、深く考えないで下さい。


「まぁったく、きのえさんってば~~~~!」
 「まぁったく」ですんでしまうから、この話ってマヌケなんだよネ。
 しかし、ささらがそう呟いたと同時に


「何?」


 と、きのえがささらの背後から、彼女の頭をコンッとこづいて登場。
「な、ななな・・・きのえさん!?」
「せーっかく人が助けにきてやったっつーのに」
 きのえはエラそうに腕を組んでそんなコトをいうが、くれないに吐血促進剤わたしといてアンタ・・・。


「ささらちゃん、大丈夫だった!?」
「あおいさんまで!」
 この2人はいつもセットなのだろうか。
 あおいまでもがその場に駆けつけてきてくれていた。
 そしてあおいはくれないの方をキッと睨みつける。
兄ちゃん、ささらちゃんに何もしてない!?」
「してませんよ、失礼な・・・」


 それにしたって、きのえもあおいも「助ける」だの、「何にもしてない」だの、何をいっているのだろう?
 くれないは同じ番人なんだし、みかどを追い出すコトに関しても、仲間なのではないのか?
 ささらはそんなコトを考えつつ、今までの彼らの会話を思い返してみる・・・・と。


「・・・・・あ!き、きのえさん!今あおいさん、あの人のこと『兄ちゃん』って・・・!!」


 こんなコトに気がついた。
 きのえはうんざり顔でため息をつき、ささらに説明してやる。
「あー、そうだよ。あの2人は兄弟だよ」
「えー!?兄弟!?」
 似てない!!
 とくに髪の毛!!!


「あ、そういえば私、ささらさんにちゃんと自己紹介してませんでしたね」
 その会話を聞いて、(すっかり具合のよくなった)くれないは、ウレシそうにささらに自己紹介をした。
「ピュア島南の番人、炎使いのくれないです。北の番人の実の兄でもあります。4人の番人の中で、一番強いのも私なんですよー」
「僕は認めてないからな」
 くれないの言葉をさえぎって、あおいはつっけんどんに言った。


 しかしくれないはめげない。
「何言ってるんです、本当は認めてるくせに♪」
「よるなー!!」
 兄が一方的に好いてるのか、弟が一方的に嫌ってるのか・・・・両方な、兄弟みたいです。


「そっかぁ、あの人が一番つおいくれないさんかー」
「・・・俺も認めたかぁねーな・・・」
 そんな2人のやり取りを見ながら、ささらときのえが呟く。


「ねぇ、さっきからくれないさんのコト危ない人扱いしてるみたいだケド、どうして?そんなに悪そうな人じゃないよ」
 今まで不思議に思っていたコトを、この機にささらはきいてみた。


「ん、あぁ。あいつ炎使いだろ。んで、友達いねーからさ、こう、人に優しく接せられると興奮して友情パワーの炎を発するんだよ」
「友情パワーの炎???」
「そう、相手はこんがり燃えちまうってワケ」
「きのえさん、経験者・・・・?」
「あの薬渡したトキに燃やされた」
 あの吐血促進剤事件は、どっちもどっちだったのでしょうか・・・???


「でもささらさんッ!これからもってこれる日には、夕食を持ってきてくださるんですよネ!」
 あおいとの会話中、そういう話題が出たのか、くれないは突然ささらのほうに話し掛けてきた。


「え、あぁ、うん。持ってくるよ」
 ささらは何気なく返事を返したが、くれないにとっては大喜びなお返事。
 彼の興奮が伝わったのか、あおいはあわててささらの前に飛び出した。
「ささらちゃん!あぶな・・・・」


ごぉおおおおおおおおッ!!!


 セリフをすべて言い終わる前に、ささらをかばったあおいと、運悪く近くにいたきのえがこんがり燃えてしまった・・・。


「きゃー!きのえさん!あおいさーん!!!」
 ささらはこんがり焼けてしまった二人に駆け寄る。


「わ・・・わかったでしょ・・・、ヤツが危ないとゆーコトが・・・ゲホっ・・・」
 消えそうな声であおいはささらにいった。
「す、すみません・・・。こういう体質なもので・・・」
 一方くれないも申しわけなさそうにあやまるが、


「うるせー!何度おまえに燃やされたコトか!!もーお前とは口きかねーからなッツ!!」
 ぶちきれたきのえに冷たく突き放されてしまう。
「そ、そんなコトいわないでください!きのえさーん!!」
 くれないの涙声が森に響いた・・・。

 南の番人くれない。
 彼に友達ができない理由は、血を吐くため、人を燃やすため、・・・そしてその性格のためだと思います・・・。

送信中です

×

※コメントは最大500文字、5回まで送信できます

送信中です送信しました!
タイトルとURLをコピーしました