ひかりにかかえられて、ささらがやってきたところは、東の森の奥の奥。
(あぁ・・・あたしどこにつれていかれるんだろう・・・。食べられやしないだろーか・・・)
そら、軽々と肩にかつがれてしまっては、恐れるのも無理は無い。
でも、食いはしないと思う。
そして洞穴を通って、たどり着いたは地底王国。
地底王国の中には、たくさんのお店がそろった商店街がある。
商店街は動物たちで大賑わいだ。
そんな中、女の子を肩にかついでやってきた大きな男がやってくれば、みんなの注目は当然彼の方へ向く。

「あー!ひかりくんだー!!」
「わーい!ひかりくんが遊びに来たー!!」
動物たちはひかりの存在に気付くと、そろってひかりの方へかけよってきた。
商店街のイベントで盛り上ってた動物達も、商店街で買い物(お金は払わないケド)をしている途中だった動物たちも、いっせいに彼のほうへ集まってくる。
ひかりに対し、怖い印象しか持っていなかったささらには、拍子抜けしてしまった。
「わーいわーい!ささらちゃんもいるー!」
「何で一緒なのー?」
「んー?ちょっとな、アイツらに会わせてやろうと思って、連れてきたんだ」
ひかりは自分よりはるかに小さい動物たち目線を合わせようとかがみ、ニコニコ顔で話す。
まるでどこかの保父さんのようだ。
そんなひかりを見て、ささらはようやく自分の思い込みを振りはらえるようになってきた。
ひかりは左肩に抱えてるささらの方をチラっと見て、言った。
「下ろすぞー」
「あ、ハイ」
そしてやっと、ささらは地面に足をつけられるようになる。
「ちょっと果物屋の方まで行くからな」
「はぁ・・・」
目的地はわかったが、具体的に何をするのかを教えてくれないので、ささらはおとなしくついていくしかできない。
とりあえず、ひかりに食べられるコトはなさそうだ。
そしてたどり着いた果物屋さんでー・・・。
「さく、らんぼー、いるかー?」
身をかがめてひかりは果物屋さんの中へ入っていく。
「いますよー・・・」
「僕らここから動けないんだから、いつだってここにいるさ!」
果物屋さんの中からは、とてもおとなしい声と、とっても元気な声が聞こえた。
「ささら、入んな」
ひかりにすすめられ、ささらは果物屋さんの中へ入ってみる。
すると、売り物から少しはなれた所に、小さな2つに別れたさくらんぼがぶらさがっている。
「やぁ、キミがささらちゃんか!」
先ほど聞こえた声は、そのさくらんぼから聞こえる。
よくよくさくらんぼを見てみると、そのさくらんぼにはカワイらしい顔がついているではないか!
細い細い手足も生えていて、なんだかカワイらしい。
左におとなしそうな顔つきをしたさくらんぼ、右には明るい顔つきをしたさくらんぼがぶらさがっている。
「わぁ!カワイイ!!」
ささらは彼らを見ると、思わず声をあげた。
「はじめまして!僕たちは双子のさくとらんぼ!僕がらんぼで、こっちがさく」

明るい顔つきをした右のさくらんぼが、元気にささらに自己紹介をした。
「ほら、さく!お前もあいさつしろよ!やっと会えたんだぞ!」
「あ・・あの、はじめまして・・・・」
おとなしい顔をした左のさくらんぼも、頬を赤らめながら精一杯ささらにあいさつする。
「あのなぁ、もっと大きい声だせよー!」
「だって、生まれて初めて年頃の女の子を見たんだもん・・・・。恥ずかしくて恥ずかしくて・・・・」
そういって、さくは両手で自分の顔をおおってしまう始末。
そんな2人のやりとりがとってもとってもカワイらしい。
ささらも笑顔で自己紹介をした。
「はじめまして。あたしはささら。最近からこの島にすみ始めたの。よろしくネ」
「キミのコトはみんなから聞いて、よく知ってるよ!だけど、僕らはこの通りここにぶらさがってて、ここから動くコトができないんだ。だから君会いたくてもあえなくて・・・」
「ひかりさん・・・、ささらちゃん連れてきてくれて、ありがとうございます・・・」
さくが消えそうな声でひかりにお礼をいうと、ひかりは笑っていった。
「おー、気にすんな」
そしてひかりはささらに説明してやる。
「コイツらはここで果物屋やってんだ。ここにある果物って、なかなかそのへんじゃ手にはいらねーんだぜ。ピュア島の奥地にある、まれな果物なんかを取れる動物たちがとってきて、ここに寄付してるってワケ」
「つまり僕らは売り子なのさー!」
「なるほどネ~」
野菜や果物なんて、そこらへんにたくさん成ってるのに、何故商店街があるのか、前々から不思議だった。
しかしここは、自分しか取りにいけないような果物や野菜を、各自で持ち寄る場所だったのだ。
この島の動物たちは、みんなで協力して生活している。
改めてソレを知り、ささらはなんだかほほえましい気分になってきた。
「そうだ!せっかくだからひかりくんもささらちゃんも何かもっていきなよ!」
「そ・・そこの左から3番目のなんていいヤツだと思うよ・・・」
2人は売り子を勤めてるだけあって、おいしい果物を見分けるコトはすぐできる。
動けないので、場所を示すコトしかできないが、その目のは確かだ。
「本当、おいしそうだネ!ありがとう、さくちゃんにらんぼちゃん!」
たくさんの果物を手にかかえ、ささらはさくとらんぼにいった。
「またおいでー!そのトキはまたおいしい果物選んであげるから!」
「ま・・・待ってるネ・・・」
そしてたくさんの果物をお土産に、ささらとひかりは地底王国を後にした。
地底王国から抜け出て、ささらとひかりは再び東の森に出た。
「いっぱいもらえてよかったな」
「うん!」
「きぃー☆」
ひかりともすっかり打ち解けられたささらは、ご機嫌で返事をした。
「・・・・・・・・・?」
ところで、今、すっごい聞き覚えのある鳴き声を聞いた気が・・・。
ささらが振り返ると、そこには同じ屋根のしたで暮らしているぽちの姿!
「あれ!ぽち!!」
「よぉ、ぽちー!久しぶりだなー」
「きぃきぃー☆」
ひかりがそういうと、ぽちは喜んでひかりの方へと飛んでいく。
そしてひかりは自分に甘えるぽちの頭を、いいこいいことなでてやった。
「たまに遊びに来るんだよ」
「へぇ、そうだったんだ」
仲良さそうにじゃれあうひかりとぽちを見て、ささらは改めて思った。
(ひかりさんって怖い人かなって思ってたケド、全然そんなコトないんだ。動物さんたちからもすっごく慕われてるし、おおらかで優しそうなカンジだし。こんな人なら、番人のリーダーっていうのもよくわかる)
そして、ささらはひかりにいった。
「ひかりさんって優しいんだネ。動物さんたちにあんなに慕われて」
「いやぁ、ちょうど動物たちの集まるトコが、俺の管轄だったからだろ。くれないたちに比べれば、こいつらと関わる機会が一番多いのも俺だし」
なんだか一番番人らしい・・・、とささらは思った。
「聖域を守る」役割を担っている番人、その聖域の住人(住動物?)にこうして慕われ、頼りにされているのだから。
いや、でもあおいはともかく、きのえが動物たちとこんなに仲良くするハズもないし、くれないなんて動物たちの方から逃げ出しそうだし・・・。
動物たちの集まる場所が東でよかった、東の番人がひかりさんでよかった・・・なんて、ささらは思った。
聖域だのなんだの、そんなコトを考えて、ささらはふと思い出した。
「そうだ!ひかりさん」
「ん?」
「『青の一族』って、何のことかわかる?」
ささらが聞くと、ひかりは少し、表情を強張らせた。
「どうしてそのこと・・・」
「きのえさんがいってたの。みかどさんが『青の一族』だって。でも、きのえさんは関係ないっていうし、あおいさんは関わらないほうがいいっていうし・・・」
それでも、敵対してるみかどときのえたちの間に立つささらとしては、気になるところである。
ひかりは少し考えて、そして口を開いた。
「・・・なるほどな。確かにお前には関係ねーし、関わると危険かもしれねーけど・・・、おまえ強そうだから関わってもいいんじゃねーのー?」
「あ、じゃあ教えてー☆」
突然、コロっとくだけた表情になったひかりに、大喜びのささら。
2人はすっかり意気投合。
ぽちは「それでええんか」と突っ込みをいれたかったが、「きぃ」しかいえないので、おとなしく見守るコトにしましたとさ・・・。
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