【第1部】第5話 東の巨人は我らがリーダー

「えーっと、むかしむかし、このピュア島は今みたいな小島じゃなくて、巨大な島だったらしい」
 早速ひかりによる、みかど青の一族説についての解説が始まり始まり。
 しかし、青の一族を何も知らないささらに説明するには、話をかなりさかのぼらせなければならない。
 そういうワケで、話はひかりが生まれるずっとずっと前にさかのぼる。

「そこには赤い玉の一族と青い玉の一族がともに暮らしてたんだ」
「玉?」
「それぞれの一族が一族の象徴としてたモノが、『赤い秘石』と『青い秘石』っつー玉だったってワケ」
「あ、なーる」
「ちなみに、一族の継承者、つまりいってみりゃ王家の者は『秘石眼』という目を持つ」
「何?ソレ」
「眼力だけで物を壊したり、人を殺したりできる力だ。それも並みの力じゃない。物っつっても、山ひとつくらい簡単に壊せちまうような力だ。まぁ、一族の男だけが持ってる力らしくて、自分で制御するのも大変らしいケドな」
「ふ~ん・・・」

 なんだかナレーターの出番がない・・・。
「じきに出番くるから、待ってな」
 おぉ!ひかりさんがナレーターに話しかけてきた!!
「どうしてできるの!?」
 ささらは不思議そうに聞く。
「わかんね」
 ひかりはあっさり返した。

 まぁ、気ィ取り直して・・・。
「で、話は戻るが、ずいぶん昔のとある日、青の一族が青い秘石をもってピュア島をぬけだしちまったんだ」
「どうして?」
「ピュア島を抜け出して、世界を自分の物にしようとしたらしい。赤や青の一族は、普通の人間より戦闘能力が長けてるんだよ。たとえば、俺は雷操れるし」
「その力を使って、世界征服しようとしたってコト!?」
「そう。島を抜け出した青の一族は、バロック団っていう集団を作って、ソレを今でも実行しようとしてるワケだ」
 ささらは改めて自分が属していたバロック団のコトを、いかに知らないかを知った。

 バロック団とは、この島に住む赤の一族と敵対する青の一族が作り出した集団だったのだ。
 それが発展して、今では世界規模の大きな集団となっている。
 なるほど、ヴァーストがこの島からみかどを連れ戻したがるのがわかる気がする。
 敵対する連中の本拠地に息子がいるのだから。

「青の一族がすごく力をつけたのはわかったケド、ひかりさんたちの赤の一族のほうはどうなったの?」
 ひかりはため息をついてこたえた。
「まぁ、現状を見てわかるように、赤の一族は俺たち4人の番人とピュアしかいない。すっげー不利なワケ」
「でも・・・、5人しかいないなんて・・・昔はもっといたんでしょ?」
「あぁ。赤の一族が衰えた理由のひとつは、青い秘石が青の一族にこの島から持ち出されてしまったコト。昔大きな島だったピュア島は聖なる力を保てなくなり、分裂しちまったんだ。で、この島以外の島はみーんな沈没しちまった」

 ひかりはまっすぐにささらの目をみていった。
「いいたいコト、わかるか?」
 ささらは首を横に振る。

「島が分裂したトキに、同時に赤の一族もそれぞれの島にちらばった。ほかの島々が沈めば、そいつらも一緒に海のそこへ沈んじまうだろ」
 それは何十年も前の話。
 青い秘石が持ち出されただけで、それだけたくさんの人々が命を落とした。
 ささらはショックを隠せない。

「それでな、青の一族が世界を征服するためには、青い秘石ともうひとつ、こっちの赤い秘石も必要とするんだ。当然、俺たちは譲る気なんてねーからな。やつらにとっては、俺たち赤の一族を殺して、秘石を奪うのが一番てっとりばやいワケ」
 そこで青の一族からの攻撃があったコトは、容易に想像ができる。
「わりと最近の話だが、16年前に、青の一族・・・バロック団がこのピュア島に総攻撃かけてきたんだよ」
「戦争・・・?」
「まぁな。でも科学的にも勝ってる向こうに、俺たちが対抗する術もなかったからな。ほとんどが殺されたよ」
 ささらは初めて聞くその話に驚き、ぽちも困ったような顔でひかりを見上げていた。

「で、生き残ったのは俺たち4人の番人だけだったってワケ。16年前だから~・・・、俺が7歳のトキか。東西南北の番人ってのは、生まれたトキにあらかじめ、任命されるんだ。だから俺たちだけでもって、大人たちが動物たちと俺たち4人を地底王国へ非難させてくれたんだ」
 ひかりはその場の雰囲気を和ませるかのように、明るく笑っていった。
「大変だったぜー。何せあおいにいたってはまだ一歳児だったしなー」
 ひかりはさもたいしたコトのないように、たんたんと話してくれるが、そんな大事があったコトを知り、ささらは驚きが隠せないでいる。
 ひかりはささらのそんな表情に気づくと、頭をなでなで優しくいった。

「そんな顔すんな。昔の話なんだから」
「だけど・・・。まだバロック団が世界を征服してないってコトは、赤い秘石はこの島にあるんでしょ?いつまた襲ってくるか、わからないよネ・・・?」
「あぁ、それなら大丈夫!」
 ひかりはさらにごーかいに笑う。

「今はみかどがこの島にいるだろ。バロック団総帥の息子がこっちにいれば、向こうも手出しなんてできねーよ」
「あ、なるほど・・・」
「きのえは、『自分の両親とかを殺した青の一族がこの島にいるなんて!』なーんていってるケド、実際みかどには長い間こっちにいてくれた方が助かるんだわ」
なんだか話を聞いてると、ひかりはみかどがこの島にいるコトに対しては、そんなに否定的じゃないらしい。

「だって考えてもみろよ。結局赤の一族はピュアと俺たち4人の番人だけで、秘石眼をもってるのはピュアだけ」
 ささらとぽちは再度、頭の中を整理してみる。
「で、青の一族はバロック団なんてゆー世界規模の集団をもっている。しかもみかどを除く、みかどの家族親戚は全員秘石眼だろ?」
「え、ちょっと待って」
「はいよ」

 話を聞いていて、2つの疑問点が出てきた。

「みかどさん、継承者の一族なのに秘石眼じゃないの?」
「あぁ、どーゆーワケだかな。それは俺にもわかんねー」
「あと、16年前生き残ったのはひかりさんたち4人だけだったのに、どうして6歳のピュアくんが赤の一族で、しかも秘石眼までもってるの?」

「それはまた話すと長くなるんだケドなー」
 ひかりは一発、咳払いをした。

「ピュアは6年前にこの島に漂流してきたんだよ」
「え、ピュアくんって漂流者!?」
 ひかりは大きく頷いた。

「16年前の総攻撃うけたトキに、赤の一族の継承者の女が、赤い秘石をやつらから守るために、秘石を持ってこの島から逃げ出したんだ」
「うんうん」
「ピュアは、その持ち出された秘石とともにこの島に漂流してきたんだ。つまりソレは、その継承者の一族の女が生んだ子供であるコトの証。まぁ、実際ピュアのヤツ、秘石眼だったしな」
 あの点目でねぇ・・・。

「そっかぁ。だからピュアくんって異様に強いんだ・・・」
 ささらは納得してしまう。

「赤い秘石はまたこの島に戻ってきたってコトは、その継承者の一族の女が、もう生きてねーってコトだ」

「そうだったんだ・・・」
 そういう経路で、赤の一族はたったの5人になってしまったのだ。
 きのえがおまえには関係ないといった理由も、あおいがかかわらないほうがいいといった理由も、やっとわかった気がした
 なんだかとても複雑な話を聞き、ささらは気まずそうにひかりにいった。

「ゴメンね、つらかったトキのコト、話してもらっちゃって・・・」
 申し訳なさそうな顔をするささらに、ひかりは明るく笑って返した。
「いんや、気にすんなって」

ぐ~・・・・・・・ッ

 話がひと段落ついたところで、ひかりの大きな大きなおなかの音が。
「わぁ、大丈夫?」
「いや~、久しぶりにいっぱい話したから、腹へっちまった」
 ひかりは苦笑いしていう。

「ごはんどうしてるの?」
「ロクなモノ食べてねーからなぁ。あったかいご飯でも食いてーケド・・・」
 ソレをきいて、ささらは即座にこたえた。

「なら、あたしが持ってきてあげる!」
「へっ?」
「あ、やだ、もうこんなに暗い。早く帰らなきゃ!」
 ひかりの反応に気づいてるのか気づいてないのか、ささらがあたりを見回せば、もう夕日が沈みかける寸前
 ささらはぽちを抱きかかえて、ひかりにいった。
「待っててネ、また2時間くらい後に、ご飯持ってくるから!」
 そして宙に浮き、慌ててピュアくんの家の方へ帰っていった。
 もはやひかりには、質問の余地もなかった。
「・・・・・・・・・あわただしい娘っ子だなぁ・・・」
 ささらが去っていった後を見て、ひかりはつぶやいた。

 その夜、ピュア家で・・・。
(は~あ、今日はいろんなコトきいちゃったな~・・・)
 お味噌汁をおわんによそりながら、ささらは考える。
(しかし、ピュアくんが赤の一族の継承者、いってみりゃ王子様だなんてネ~・・・。秘石眼なんていう恐ろしい目を持ってるみたいだし・・・)
 そしてどんどんふえゆくお味噌汁のおわんの数。
(それに、青の一族、つまりバロック団はこの島の住民を殺そうとしてるだなんて・・・)
 お味噌汁のおわんはただいま3杯目。
(みかどさんがもし、この島からいなくなったら、バロック団はきっと、この島を攻撃するのね・・・)
 お味噌汁のおわんはただいま4杯目。
(みかどさんはそういう気ぜんぜんないみたいだケド、父親のヴァースト総帥は、そうなんだろうな・・・)
 お味噌汁のおわんはただいま5杯目。
(・・・あの人はどうなんだろう。やっぱり、ピュアくんたちを殺すツモリなのかな・・・)
 ささらの脳裏に、懐かしい人物が現れた。
 いたくもないバロック団で、唯一頼りにするコトのできた、あの優しい人物・・・・

「ささら!」
「ハッ、ハイ!」

 しかし、それはみかどの声によってさえぎられた。
「さっきから呼んでたのに、どーした?」
「ゴメン・・・。で、何?」
「いや、俺、思ったんだケドよぉ、おまえ・・・」
 みかどは突然、表情を厳しくし、ささらを見つめた。
 ささらはまじめな話を持ち出されるのかと、緊張してしまう。

「最近すっげーよくメシくわねぇ?」

 そしてみかどが見つめた方向には、5人前はある、夕食のおわんやお皿の数々(ひかりさんが2人前食べるので)
 マズイ!マズイぞ!
 おそらくみかどはあの4人を快くは思っていないハズだ!
 その4人にご飯を持って言ってるコトがバレたら、絶対止められる!

「あ、あの最近なんてーか、スッゴイおなか空くのよネー!人間のせーり的げんしょーとゆーか、なんとゆーか・・・その・・・」
「ふ~~~ん・・・・・・・・・・・・」

 苦し紛れのうそをつくささらに、明らさまにに疑いのまなざしを向けるみかど。

ささらは困りに困って・・・
「でっ・・・でかけてきま――――――すッツ!!!」
「あッ!コラ、まて!!」
 ダッシュで家を飛び出した。

「逃げたぞ」
 ピュアくんは相変わらずの無表情で、ささらが飛び出していった方向を見つめ、いった。
「あぁ、こりゃあやしいなー」
 みかども同じ方向を見つめ、ニヤリと笑う。
 事情を知っているぽちだけが、気まずそうにオロオロとしていた。

 さぁ、マズイぞ!ささら!!
 こうなっては、番人さんたちにご飯を持っていってあげてるのがバレるのも、時間の問題!!

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