【第1部】第6話 天才秀才バカコンビ

「ピュアくん!みかどさん!!大変だよぉお!!!」
 ひのとと橘が帰ったあと、相変わらず洗濯を干していたみかどに、ぽちと遊んでいるピュアくん。
 そんな彼らのもとにひどく慌てた様子でやってきたのは、とおるくんとたかしくんだ。

「なーにをそんなに慌ててる、仲良しコンビ」
 彼らがあわてて飛び込んできたところで、持ってくるのはいつも小さな事件ばかり。
 みかどはテキトーに返事を返した。
「あー!またたいした事件でもないのに大騒ぎしてー!って思ってるでしょー!」
「そんなコトないもん!大事件だよー!」
「はーいはい」
 とおるくんとたかしくんがムキになっても、みかどは彼らのほうを振り向きもせず、せっせと洗濯物を干している。

「何があったんだ?」
 ピュアくんとぽちが、とおるくんたちのほうへやってきた。
 とおるくんとたかしくんは、ちゃんと話を聞いてくれそうなピュアくんに話すコトにした。
「そうだ!こんなコトしてる場合じゃないんだよ!」

「ささらちゃんが、ひのとくんたちにさらわれちゃいそうなんだー!!」

「何ィ――――――ッツ!!!??」
 用件をいったトコロで、やっとみかどもマジメに話を聞いてくれた。

「それは確かな情報なのか!?」
「確かであります!」
「『誘拐』がどーのこーのっていってたもんねー」
 慌てていても、どーも緊張感が感じられないみかどにとおるくん、たかしくん。

 ピュアくんは真剣な瞳で(でも点目)で呟いた。
「『お兄ちゃんが帰らないっていうんなら、こっちにだって考えがあるからね』ってのは、ささらを誘拐するコトだったのか」
 本当は違うんだケド、そーゆーコトになってしまった。

「でも、あいつ強いだろ?」
 みかどはとおるくんとたかしくんに言った。
「ささらちゃん寝てたんだ」
「寝てるうちにさらうツモリなのかもしれないよー!」
「あんのバカ・・・。寝ちまったのかよ・・・」
 それを聞いてみかどは頭を抱え、大きなため息を一発ついた。

「ため息ついてる場合じゃないよ!」
「はやくはやく!」
 とおるくんとたかしくんはトテテテテと、森の中へ走っていく。
「兄ちゃん、ぽち!行こう!」
 ピュアくんに声をかけられ、ぽちと呆れ顔のみかども後に続いた。

 一方―。
「僕ねーえ、ひのとってゆーんだ。ひのちゃん☆って呼んでネー♪」
 目が覚めたささらににこにこ笑顔で話し掛けるひのと様。
 そういうささらは、目が覚めたばっかで意識はハッキリしていない。
「うん・・・。ならあたしのことォ・・・、さっちゃん☆って呼んでネ~・・・」
 自分でも何言ってるのかわかってないくらいのねぼけっぷりである。
「うんうん!さっちゃん☆」
 ひのとは超ご機嫌でささらの手をにぎり、上下にぶんぶん降った(握手)
 こんな17歳がおるか!といわんばかりの、バカっぷりである。

「ちょちょちょちょ・・・ちょっと待ってくださーい!」
 バカはもう一人います(無礼)
 ひのと様のお付きの橘は、大切に大切にお守りしてきたひのと様が、こーんな小娘をお気に召されたのが本当に気に食わない。
 しかし、橘がとめようとはしても、ひのとは寝ぼけ眼のささらに自己紹介をするのに夢中なので、効果は全然なかった。
(な、なんということだ・・・!ひのと様はすっかりこの小娘の虜になってしまわれている・・・!)
 橘氏、もーう平静を装ってはいられない。

「ひのと様・・・、あなたをにおつかえしてかれこれ11年5ヵ月と25日・・・。お母様をはやくに亡くされたあなたに、これでもかってくらいの愛情を注いでまいりましたのに・・・」
 ハンカチで涙を拭いながら、独白モードに突入してしまう始末。
 スポットライトをあびて、ひざまずいてしまう橘。
 そんな彼に

「何いってんだよ、プロフェッサー」

 と、後ろから声をかけたのは
「み、みかど!?」
 である。
 みかどがピュアくんやぽち、とおるくんたかしくんたちとともに、浜辺へたどり着いたのだ。

「ほっといてください!ひのと様があの娘のもとへ嫁がれよーと、私はひのと様のおそばを離れはしません!!」
「はぁ・・・???」
 「何いってんだよ」と聞いてみたものの、橘は更にワケのわからないコトばかり口走る。
 そもそも何でひのとが「嫁ぐ」側???

 そんな橘は無視して、ピュアくんは辺りを見回す。
 結構簡単に、ささらは見つかった。
「あ、ささら」
 ピュアくんの声に気付き、みかどはささらの方を見た。

すると、低血圧なのか、まだ意識のハッキリしないささらは、ご機嫌のひのとに手をひかれ、ひのとと立場なのやってきた潜水艦に乗るよう、エスコートされてるトコロだった。

(あ、あいつ・・・!)
 その場面を誘拐と呼ぶにはふさわしくないが、とおるくんらから「誘拐」という話をきいていたので、みかどもそれなりに焦っていた。
(寝起きでぼーっとしてるトコロをさらう気だな!)
 そしてそんな解釈をしてしまう。

 みかどはささらとひのとの方へと走り出し、弟の名を呼んだ。
「おい、ひのと!!」
 大好きな兄の声が聞こえると、ひのとはすぐに顔をそちらへ向けた。

「あ!お兄ちゃーん!」
 さっきまでのケンカも忘れ、ひのとはみかどに向かってぶんぶん手を振る。
 しかし、みかどはお構いナッシング。
 そしてタメなしで

「眼魔砲!!!」

 を実の弟に向かって、ぶっ放した。
「え”・・・???」
 ひのとがそういったとほぼ同時に

ちゅど――――――――んッツ!!!

 あたりは大爆発したのでした・・・。

「はッ!」
 ささらは今の大爆発でようやく目がさめ、意識もはっきりした。
「キィ~!」
 目が覚めたささらにぽちがパタパタと近寄ってくる。
「あれ?ぽち!」
 ささらがさらわれなくて安心したらしく、ぽちはささらに頬擦りした。
「無事だったみたいだな」
「ピュアくん!あ、みかどさんまで!」
 改めて辺りを見回せば、自分の家族が勢ぞろいしてるではありませんか。

「おいおいおい、なんだってこんなトコで眠っちまったんだ?」
 みかどはささらと目線を合わせるためにかがみ、そして尋ねた。
「え、あ・・・つい、うっかり・・・」
「危ねーだろ?いつまたバロック団の刺客がやってくるかもわかんないんだから、今後2度とこんなコトはしないよーに」
「はぁい、ゴメンなさい・・・」
 お説教されてしまいしゅんとしてしまったささらは、ぺこんと頭をさげた。

 みかどはそんなささらを見ると、彼女の頭をなでなでし、笑顔でいった。
「わかればよーし!」
「腹減ったので家帰って夕メーシ!」
 みかどの語尾にあわせ、突然ピュアくんが元気に言う。
「あ、そーいえば減った」
 そういうささらちゃんのおなかからは、ぐ~っという音が・・・。
「よーし、早く帰って準備だ準備」
 そういうピュアくんのおなかからも、どがががずがーん!という音が・・・。
「おいしそうなもの、いっぱい取ってきたからよろしくネ♪」
 ささらは笑顔でみかどに取って来た材料を見せた。
「はーいはいはい」
 弟のついでに、妹までできてしまった気分のみかどさんは、ため息混じりに返事を返した。

「橘ぁ、またあの島へ遊びにいこーネ☆」
 帰りの潜水艦の中。
 体のところどころに包帯をまいたひのとが、それでも元気に橘に微笑みかけた。
「え・・・、えー、それは、みかどさんを連れ帰す目的でという意味で・・・」
 橘はわざとささらのコトは話題にあげなかったが、

「それもそうだケド、さっちゃんにも会いに行きたいからさー☆」
 ひのと様、満面の微笑み。

「・・・・・・そうですか・・・・・」
 もはやひのと様をとめるコトはできない、と思った橘は、一生かけてあの小娘を呪ってやる・・・と、密かに決心したのでした。

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