「みかちゃ~~~~~んッツ!!!」
扉があいた瞬間、視界に入って来たのは、会いたくてたまらなかった弟ではなく、鼻血たらしながら自分に向かって爆進してくる実の父親!!?
「うわぁあああああ!眼魔砲!眼魔砲!眼魔砲!眼魔砲!眼魔砲ー!!」
みかどは恐ろしさのあまり、眼魔砲をタメなしで連射した。
ちゅどっこーん!!
バロック団士官学校生であるにも拘らず、バロック団でナンバーワンのみかどが打つ眼魔砲の威力は、ハンパじゃない。
みかどのパパ、えー、つまり、バロック団総帥ヴァーストは、見事に吹っ飛び、みかどを抱きしめるコトを許されなかった。
血まみれであるにも関らず、ヴァーストは勢いよく起き上がり、そして
「何故拒むッ!?」
こんなコトをほざく。
「何故と聞くのか!!!」
みかども眼魔砲を連射したため、無駄な体力を使ってしまったらしく、ぜぇぜぇ息をきらしている。
しかし、こんなトコでオヤジともめてるヒマはない。
みかどは後ろにいる叔父を振り返り、睨みつけた。
中にはみことがいると言っていたのに、出てきたのは、こんなオヤジかよ!
「騙したのか、おじさん!」
「・・・や、やはり父親の側にいるのが一番だろう・・・」
ビリーヴはそう言って、みかどから目をそらす。
すげぇ気まずそうに。
「本当にそう思うんか!?ってか、俺の目見ろよ!!」
初めはそう思っていたが、この光景を見て、自分の考えに疑問を抱いたビリーヴだった。
まぁ、気ィ取り直して・・・。
みかどはやむをえなく、ヴァーストの部屋へ連れて行かれるコトになった。
総帥の部屋で、みかど、ビリーヴ、そしてヴァーストは、差し出された紅茶を飲みながら、優雅にティータイム体制に入る。
「まったく、1年ぶりの再会だというのに、抱きしめることすら許されないとは。思春期の息子を持つと、色々寂しい思いをするモノだ」
ヴァーストはそんなコトを言いながら、温かい紅茶を一口飲む。
「バカ言うな!誰だって鼻血たらしたオヤジが突進してきたら拒むわ!むしろそれが自分の親だと思うと、悲しくなってくるぜ」
みかどもイラつきながら、紅茶を一口飲む。
「昔からみかどはそうだったな。ひのとなんて、今でも『お父様ーv』っていってしょっちゅう抱きついてきてくれるのに・・・」
「あれと比べんな。ところでオヤジ」
「みかどは見た目も日本人そのものだからな。母さんの日本人要素を強く受け継いでしまったのかもしれないな」
「あーハイハイ。それでな、オヤジ」
「そうだ、おまえ、母さんの墓参りもずっといってないじゃないか。今すぐとは言わないが、あとで必ず向かうんだぞ」
「わかったよ。だからオヤジ」
「士官学校のほうも、留年決定だからな。まったく、私の息子が留年になるなんて、思ってもみなかったよ。ひのとなんて、おまえがいなかった1年間で、留学してアメリカの大学を卒業したんだぞ」
「そいつぁ知らなかったケド、あいつ勉強だけはできるから別に驚くコトじゃねーよ。じゃなくて、オヤジ」
「さて困ったな。士官学校のほうも、飛び級制度がないわけではないのだが・・・」
「人の話を聞けー!!!」
みかどはいつまでたってもヴァーストが自分の話を聞こうとしないので、思わず、紅茶ともどもテーブルをひっくりかえした。(ノ-_-)ノ┻┻
「何をする、危ないじゃないか」
「アンタが人の話を聞かないからだろーがッツ!!!」
みかどはすっかりぷっつんしている。
しかし、ヴァーストもビリーヴも動じる様子もなく、むしろどこからか傘なんぞ取り出して、ふっとんだ紅茶をふせいでいた。
みかどは勢いに任せて、言葉を並べ立てる。
「俺が日本に帰ってきたのは、みことに会うためだ!おじさんから事情は聞いたよ!みことを幽閉した理由もわかった!だけど、だけど会いたいんだよ、みことに!」
言葉をきってもなお、みかどはヴァーストの目を見て訴えた。
父親の返答を待つ。
しかし
「会ってどうする?」
真剣に訴えたって、返ってくるのはいつだってこんな言葉。
『会ってどうする』。
これが父親の言葉か。
みかどが再び何かを言おうとすると、ヴァーストはそれをさえぎった
「そんなに気が立ってる状態で、みことに会わせる訳にはいかないな」
席を立ち、みかどがひっくりかえしたテーブルや、紅茶のカップを拾い上げる。
そしてビリーヴに向かって、ころりと表情を変え、笑顔で言った。
「すまないな。今すぐ新しい紅茶を持ってこさせよう」
いつも適当なことをいってはぐらかされる。
1年前と、何ひとつ変わっていなかった。
みかどの言葉を聞く気は、いや、みことに会わせる気はないようだ。
ふと、ビリーヴを見た。
ビリーヴもみかどの視線には気付いているハズなのに、決してみかどと目をあわせよとはしない。
協力する気はないようだ。
話してもムダだ。
みかどはそう思い、ため息をついて、どっかりソファーに座り込む。
座ったみかどを見て、ヴァーストは機嫌よさそうに笑った。
「みかどは?またダージリンでもいいかい?」
「何だっていいよ」
みかどは投げやりに答える。
そしてたわいもない話をするヴァーストとビリーヴを見て、どうやってみことを探し出そうか、考え始めた。
「と、いうワケで、みかどのヤロー、帰っちまいやがってコンチクショー!カンパーイ!!」
「かーんぱーい!!!」
一方こちらはピュア島の浜辺。
みかどが帰ってしまったため、いつバロック団が攻めてくるかわからないという、危険な立場におかれたこの島は・・・
何故か全員集合して、宴会モードに入っていた。
「あの、ガマ仙人・・・」
宴会モードについていけないささらは、場馴れしたみんなを見てとまどいながら、先ほど出会ったガマ仙人なるおじーさんカエルに話し掛けた。
「今は宴会なんてやってる場合じゃないんじゃ・・・」
「だーいじょうぶ大丈夫。まさか昨日の今日で、ヤツらも襲ってきたりはせんじゃろ。それよか、気持ちを整理する意味もこめて、酒でも飲んでぱーっと騒げ騒げv」
そう言ってガマ仙人はぐびーっとお酒を飲み干す。
それでいいんだろうかと思いつつ、まわりと見てみる。
すると、みんなまだ真昼間だというのに、お酒を飲んで、「わーん、みかどさ~ん!」「なんで帰っちゃったのさ~!」「えーん!えーん!」などなど、口走りながら、すっかり涙酒。
何よりも、動物のみんなが平気でお酒を飲むのに驚いた。
とおるくんやたかしくんまで、フツーに飲んでるのを見たトキは、ちょっとショックだったケド。
「ささらー、どーかしたのか?」
みんなのそんな様子を見守っていると、ひかりがささらに声をかける。
お酒を飲んでも顔色ひとつ変えていない。
どうやら酒には強いようだ。何となくわかるケド。
「い、いや、みんな場馴れしてるなぁと思って・・・」
「あぁ、年1回はガマ仙人が来て、こうやって飲み会でぱーっと騒いでっからなー。一応、ピュア島全員集合の機会はこの飲み会しかないワケだし」
「じゃあ、ガマ仙人ってお偉い仙人様じゃなくて・・・」
「あぁ、ただの宴会部長」
(この状況下において、そんな・・・!)
ひかりに笑顔で答えられて、ささらはショックを受けた。
「ささらは酒飲まねーの?ホレ」
ひかりはささらの目の前にどんっと一升瓶をおく。
しかし、飲み会なんて生まれて初めて。
なおかつまだ未成年のささらは、お酒なんて飲んだコトがない。
「あ、あたしまだ未成年だから・・・」
と、言って断った。
しかし、ふと、視界に入って来たきのえとあおいに気付く。
あれ、あの2人も未成年のハズなのに、フツーにお酒を飲んでいる・・・?
「きのえさんもあおいさんも、お酒大丈夫なの?」
ささらがビックリして尋ねると、
「そりゃ小せぇ頃からこの宴会参加して飲んでたからな」
「うん、慣れちゃったよネー」
さらりと答えられてしまった。
この2人も平気で何杯も飲んでいる。相当強いらしい・・・。
ハッとささらは気付いた。
どんな些細な衝撃でも、与えるとすぐに吐血してしまう、あのくれないさんは!
お酒なんて飲んだら、体によくないのではないか!?
ささらは慌ててくれないの方を向いたが、くれないもフツーに何杯も飲んで、海の向こうを見つめ、黄昏れている。
あぁ、きっと日本に帰ってしまった友のコト(一応説明しておくと、みかど)を思っているのだろう。
彼も強そうなので、これはこのままそっとしておくのがいいのかもしれない。
ささらは思った。
ささらはぽちとともに、黙り込んで座っているピュアくんの元へ戻る。
昨日から話し掛ければそれなりの反応は返すが、それでも、ずっとこんな調子。
ささらは心配そうにピュアくんの顔を覗き込んで
-気がついた。
ピュアくんとぽちまでお酒飲んでる・・・・!!!
ささらは思わず、身を引いた。
「ん、どうかしたのか?」
ささらの様子に気付いたピュアくんが、相変わらずのあの顔で尋ねてきた。
「う、ううん、何でもない・・・」
とは言ってみるものの、6歳児まで酒を平気で飲みこなすこの島。
酒豪ぞろいのこの島。
改めて、常識は捨てなきゃと思った瞬間だった。
ささらはピュアくんの隣りに座って、みんなの飲みっぷりを眺め続ける。
みんなパーっと騒いでいるケド、その内容もみかどさんがいなくなって悲しんでいるコトばかり。
きのえもあおいもひかりも、すっかり荒れている動物たちのなだめ役に徹している(くれないはまだ、海の向こうを見つめてたそがれ中)
・・・いいのかもしれない。
ささらは思った。
みんながガマンしてるツラさを、お酒を飲むことで思いっきり気持ちをぶつけ合い、また、共感し合うのも。
ガマ仙人の言うとおり、それが気持ちを整理するという意味になるのなら・・・。
などと考えていると、さっきまで泣いていたとおるくんとたかしくんが、ささらの元へトテテテと走ってきた。
「ささらちゃーん」
「ジュースあげるー」
気持ちが落ち着いたとおるくんとたかしくんは、輪から外れておとなしくしていたささらに、気を使ってくれたようだ。
ささらはそんな2匹の心遣いを嬉しく思い、ジュースの入ったコップを受取った。
「ありがとう」
そして笑顔で返した。
隣りに座っていたピュアくんが、ささらの一口飲んだものを見た。
そして気付く。
「あ、ささら、ソレ・・・」
しかし、ピュアくんが言い終わる前に、ささらは突然その中身をぐいーっと飲み干した。
そして勢いよく立ち上がり、みんながたまっているトコロへずんずん突き進む。
「酒・・・だったな」
「キィ・・・」
残されたピュアくんとぽちは、顔を見合わせた。
「よぉ、ささらー」
ささらがやってくると、一番に迎えてくれたのはひかり。
動物たちもウレシそうにささらの方を振り返った。
・・・・が。
「・・・・・サケ」
「は?」
「酒はどこじゃーーー!!」
ささらちゃんが突然こんなコト叫んだー!
しかもその目は完全にすわってるー!!
さ さ ら は 酔 っ て い た ・ ・ ・ ・ !
「ささらさん、しっかりしてください!」
波打ち際でたそがれていたくれないが、騒ぎを聞きつけてささらの元へやってくる。
しかし、ささらはやってきたくれないの胸元をぐいっと掴み上げ
「酒どこ?とっとと持って来いよ、オラ」
すわった目でくれないをじと~~~~っと睨みつける。
「や、あのささらさん、お気を確かに・・・・、ってか苦しいです・・・」
くれないが酒を持っていないとわかると、すっかり猛獣と化したささらは、
「持って来いとゆーとるんじゃーーーーーーー!!!」
くれないを片手で持ち上げ、ぶんぶん振り回し始めたー!
ってか今くれないに吐血されたら、血の雨がふるー!!
「がふッ!!」
と思ったら、ショックを受けたくれないは、やはり吐いたー!!!
くれないの血が、あたり一面に飛び散る・・・!
「み、みんな早く逃げて!」
「ひー!バカささら!!早くくれない下ろせー!!」
動物たちを非難させるあおいときのえに
「あはははは、ささら酒乱かよー」
大笑いしているひかり。
「アホばかりじゃのぉ~」
いつの間にやら、騒ぎの輪から外れて、ピュアくんの隣りに非難したガマ仙人。
パニックしまくっているみんなを見て、そんなコトを呟きましたとさ・・・。
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