「みかちゃ~~~~~んッツ!!!」
ヴァーストは安堵のあまり、思わず我を忘れ、またも愛しい息子の元へ鼻血たらしながら突っ走った!!!
みかどビックリ!!!
「うわぁああああ!!眼魔・・・!!」
すかっ。
「???????」
みかどが恐怖のあまり、またも眼魔砲を連射しようとする前に、ヴァーストはみかどの体をすり抜けて、勢いあまってずっこけてしまった。
「何故ッツ!!」
勢いよくおきあがり、ヴァーストがみかどに訴える。
ビックリしたのはみかどだって同じコト。
自分の体を見て、ぼんやり透けているコトに気付く。
この瞬間みかどは確信した。
ヴァーストが自分の体を通り抜けたのだ、間違いない。
「俺・・・、死んじまったみてー・・・」
ポツンと、みかどが呟いた。
―――間―――。
「なななな何だってッ!?いきなり何を言い出す!」
ヴァーストは再び取り乱す。
息子の無事を確認したばかりだというのに、本人から言われたのはこんな言葉。
顔を真っ青にして、今にもぶっ倒れてしまいそうだ
「やはりそうか・・・」
動揺しまくりなヴァーストとはうってかわって、冷静な顔をしたビリーヴは素直にみかどの言うことを受け止める。
そしてみかどの頭上を見ながら近づいてきた。
「おじさんもそう思ったの?」
「あぁ。おまえの頭上に、天使の輪がついているからな」
そういってビリーヴは親切に、自分の手鏡を見せてくれる。
みかどは自分の顔全体を手鏡に映して見てみた。
・・・確かにある、天使のわっかが・・・。
「なかなか面白いだろう」
「うん。でも自分でつけてると思うと、何かヤだ・・・」
みかどはパタンと、手鏡を閉じた。
「いや、これはこれでなかなか味があってカワイイと思うのだが」
気持ちが落ち着いたのか、ヴァーストはどこからかホームビデオなんぞ取り出し、天使のわっかを浮かべた、ちょっと体の透けてるみかどを撮影している。
「親父、ちょっと打ってもいいか?」
みかどさん、眼魔砲スタンバーイ。
「ってかおじさん、俺が死んだっていってんのに、冷静だネ」
後ろで壊れたホームビデオとともに横たわっている親父は無視。
みかどはビリーヴに話し掛けた。
「実際今おまえと会話してるから、実感がわかんのだよ」
あくまでマイペースに答えるビリーヴ。
言われてみれば、実際こうして話をしているみかど自身も、そういう実感はない。
体がすけてしまうというコトと、頭上に天使の輪があるコト以外は。
むしろ今気にかかるのは、つい今、去っていったあの金髪の男。
自分こそが「本当のみかど」だと名乗った、あの男。
「・・・あいつ、本当のみかどかもしれない・・・」
みかどは力なくいった。
弱気なみかどの発言に、ヴァーストもビリーヴも驚く。
「何故そう思う」
ビリーヴが尋ねた。
「みことに打たれたトキ、正直助からないって思った。意識が遠のいていく中、あいつの声がしたんだ」
-・・・出て行け・・・-
-俺の体から出て行け-
-邪魔をするな、偽者!-
頭の中でガンガン響いた、白みかどの声。
その声がだんだん大きくなり、たえられないほど大きくなったとき、みかどの意識はぷつんと途切れた。
「俺、その声に追い出されたみたいで、意識が戻ったトキには、この姿になってたんだ」
みかどは顔をあげ、ビリーヴに訴えるように言った。
「あいつは元から、俺の体の中にいたんだと思う・・・。だから俺を追い出すコトができたんじゃないかな」
「心あたりはあるのか?」
「いや、ないよ。ただ・・・」
秘石眼を持たない自分でさえわかった。
あの男の右目に秘められた秘石眼の威力が。
そしてあの金髪、面立ち、どれをとっても、ヴァーストにそっくりだった。
「俺より、あいつのが親父にそっくりだったろ?髪の色も、目も、顔つきだって」
みかどは頼りなく笑った。
「それにあいつ秘石眼持ってたみてーだし、・・・・あいつが本物っていう方が、説得力あるモンな・・・」
俯いて、白みかどが現れてからの一部始終を思い出す。
そして耳から離れないあの一言。
-お兄ちゃん!-
みことが、彼を本当のみかどと認めたコトが、みかどには一番のショックだった。
みかどは俯いたまま顔をあげず、静寂が、その場を包み込む。
「みかど」
ヴァーストの声がした。
息子の眼魔砲をモロに食らったあとは、もう大丈夫なのだろうか。
そんなコトを思いながら、みかどはヴァーストの方を見る。
「じゃあ、どうしておまえは私を助けてくれたんだい?」
ヴァーストは真っ直ぐにみかどを見て、尋ねた。
「え」
その視線と質問に、鬱になっていた気持ちがすべて吹っ飛び、とまどいがうまれた。
大切な末の弟、みことを両目ともに秘石眼だからというだけで幽閉した、憎むべき父親。
いつもニコニコ笑ってるだけで、大切な話をしようとしてもはぐらかされる。
いつも自分を子ども扱いし、真正面から向き合おうとしてくれなかった。
嫌っていたはずなのに、どうして助けたのか。
「そ、それは・・・そのォ・・・、一応・・・、なんだからさ・・・」
自分の気持ちと自分の行動のギャップに、みかどは取り乱す。
理由はわかっていたって、ストレートに口で伝えるのは恥ずかしい。
上手い言葉が見つからない、間がもたない。
みかどはヴァーストから目をそらし、オタオタするばかり。
そんなみかどをなだめるように、ヴァーストは優しく言った。
「髪の色が違っても、秘石眼でなくとも、おまえは私の息子だよ」
驚いた。
父親らしい、優しい言葉をかけられて。
こうして落ち込んでいたとき、心から嬉しい言葉をかけてくれて。
嬉しいのに、嬉しいのに・・・、それよりも先に、照れが先走る。
みかどはまたも気まずそうにヴァーストから視線をそらした。
また間が持たなくなってしまう・・・などと思いながら・・・。
ヴァーストはそんなみかどの様子を察したように、すぐに言葉を挟んでくれた。
「もっとも、みことの攻撃くらい、簡単にかわしてたケドね」
そんでもって高笑い。
その言葉、みかどの怒りは買っちゃいまして・・・。
おーおー、みかどさん、また手に眼魔砲ためちゃってるよ。
「みかど、今はやめとけ」
ビリーヴがみかどをなだめる。
「それよりも、今はおまえの体を元に戻すことが先だろう」
それもそうだと思い、みかどは素直に眼魔砲を引っ込めた。
「体を失ってもこういう形でまだここにいられる限り、戻れる方法は必ずある」
ビリーヴはみかどを励ますように、優しく微笑んだ。
みかども励ましてくれた彼に、感謝の気持ちを表すかのように笑った。
しかし。
「元に戻るったって、まず何をどうすればいいのか・・・」
みかどが呟いたトキだった。
「お任せくださいッ!」
最上階の廊下に響き渡る、自信に満ち満ちた凛とした声。
声のする方を振り返る、みかど、ヴァースト、ビリーヴ。
そこに立ちはだかっていたのは・・・!
「大事を聞きつけてこの天才科学者プロフェッサー橘!!ひのと様とともに駆けつけましたよ!」
第6話以来久しぶりに再登場を果たした、プロフェッサー橘&ひのと様のコーンビ!!
「ピュア島へ行けばどうにかなるかもな」
「あー、そうだねー」
しかしあまりのテンションの高さについていけなかったのか、ビリーヴもみかども、二人の登場をさらりとかわして会話を進める。
「鮮やかなシカトですね」
でも橘はめげない。
「それが久しぶりに対面する旧友への仕打ちですか、ビリーヴ」
「いたのか、橘」
うわ、あれだけ派手な再登場したのに、ビリーヴ様、「いたのか」発言ですッ。
「えー!お、おじさん!この変態科学者と友達なのー!?」
そんな冷めた二人のやりとりに、みかどが口を挟む。
二人が地位や役職的な関係で、顔見知り程度に会話しているのは知っいたが、まさか旧友だったとは。みかどビックリ。
「失礼な、アンタ番外編のアイ~I・eye・愛~読みました?」
橘がムっとした顔つきでみかどに言う。
「え、えと~・・・」
「私たちは士官学校でも1、2を争う仲だったのですよ。リンク貼っておいたので(↑)後で読んでおきなさい」
「ハ、ハイ・・・」
怒られてしまった。
「そんなことより、みかどさん。喜びなさい。ひのと様があなたのためにすばらしい体を提供してくださるそうですよ」
「マジか!?」
みかどは素直に喜んだ。
今の状態では実態がないので何にも触れるコトができない。
元に戻るまでの間、一時的な体があるのは、ありがたいコトだった。
「僕だって科学者目指してるんだもん。こういうトキこそ、頼りにしてくれなくちゃ」
ひのとはみかどに向って、にっこり微笑んだ。
そしてそれを聞いて喜んだのは、みかどだけではなかった。
「そうかそうか、偉いぞひのと~。お兄ちゃんのために頑張って作ってくれたんでしゅネ~」
「うん、頑張ったのーv」
ヴァーストに頭を撫で撫でされて喜ぶひのと。
親父も息子も互いに年齢不相応なコミュニケーションをとっているが、どうやらヴァーストは、息子の精神年齢に合わせてお話をするのが上手らしい。
周りの目も気にせずここまでできるなんて、優しいパパだと思う。
「さぁ、元の体はとられちゃったんだ。おとなしくココへ入るといいよv」
そういってひのとが差し出した体は、全長50センチ程の「ロボットです!」と言わんばかりの鉄でできたボディ。
小学生が図画工作で作ったような作品だったのであった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
みかどは一時的なものとはいえ、この姿ですごすのはちょっと困るなと思った。
しかもコレ見覚えあるぞ。
あぁ、いつぞやお絵描き掲示板に投稿されたイラストで、ひのとが作ってたヤツだな、と、みかどは思った。コレ↓。

いやがらせだろうか・・・?
みかどは悩んだ。
いや、しかしこの弟だ。本気かもしれない。
みかどは確認のために聞いてみた。
「ひのと・・・、あのさ・・・」
「さぁ、早く入れv」
「えと、・・・これに・・・」
「お兄ちゃんに選択権はないと思うよ。ほら」
「・・・・・・・・・・おまえ、俺が第6話(3)で俺が眼魔砲ぶっ放したコト、根に持ってるんだな・・・」
いやがらせだった。
すると、険悪な2人を見るのは耐えられない・・・、と言った風に、ヴァーストが仲裁に入る。
「ひのと、せっかく作ってくれたんだけどネ、この体はみかどには小さすぎるよ。歩いているとき、うっかり蹴っ飛ばしてしまったら大変だろう?」
説得する言葉は、しっかりひのと向けのレベルに落とされている。
「え~、お父様ぁ。僕、むしろそれを狙ってたんだケド~・・・」
ひのちゃん黒いです。
「ひのと。どんな理由でケンカしたのか、お父様にはわからないけれど、兄弟で憎みあうのはやめておくれ。そんなお前たちを見るの、お父様はつらいよ。それに、天国のお母様も悲しんでしまうじゃないか」
ヴァーストが悲しそうな顔をしてそう言うと、ひのとはハッとする。
そして目に涙を浮かべて、ヴァーストに抱きつくと、わんわん泣き出した。
「お父様ーッ!ゴメンなさい!!お父様たちを悲しませるツモリはなかったんだ!」
「いいんだよ、ひのと。泣くのはおよし」
そしてそんなひのとを、よしよしとなだめたあげるヴァースト。
何だこの空間は。
1年ぶりに次男と父親のコミュニケーションを見て、改めてそう思ったみかどであった。
しかもヴァーストの芝居がかった演技に、コロリと騙されるひのともひのとだ。
・・・まぁ、自分への恨みは消えたようだからよかったケド・・・。
「さて、とりあえずピュア島へ向うとしよう。あの島なら、何か方法が見つかるかもしれない」
ヴァーストがその場にいる全員に声をかける。
それを聞いて、みかどは思った。
またささらに、ぽちに、そしてピュアくんに会えるのだ。
あの島のみんなに会える。
喜びはある。
しかしせっかく会えるのに、再会する自分の姿はこんな姿。
みんなはどう思うだろうか。
「あ、橘!ピュア島行ったらさっちゃんにも会えるネ!」
・・・・・・・・・・・・・・。
せっかくおセンチに浸っていたのに、聞こえてきたのは能天気なひのとの声。
「ひのと様!まだそんなコトおっしゃってるんですか!」
更に橘の切羽詰った声も聞こえる。
「ひのと、さっちゃんというのは誰かなー?」
「ささらちゃんっていうピュア島に住んでる女の子なんだー」
「おや、ささらは私の義理の娘だよ」
「えー!そうだったの!?おじ様、なんでなんでー!?」
「色々複雑な事情があったんだ」
「複雑な事情って?」
「ひーのーとー様!もうこれ以上詮索なさるのはおやめになってください!」
「まぁまぁ、橘。面白い取り乱し方をするな」
・・・・・・・・・・・・・・・・・。
同行するヤツらのうるさいことうるさいこと、能天気なこと能天気なこと。
俺は無事、もとの姿に戻るコトができるのだろうか。
みかどはひとつ、重いため息をついた。
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