【第1部】第10話 ピュア島のひみつ(未完)

「実は今までずっと隠していたんだがな」
 金髪&青い瞳の王子様は、キラキラさせたオーラを放ち、優雅に話を始める。

「俺は呪いをかけられた身で、誰かからのキスがないとこうして元の姿に戻るコトができねーんだ」
「元の姿って・・・、カエルは呪われた姿だったってコトか?」
「さすが。物分りがいいな、みかど」
「いやいやいや、そんなメルヘンみたいな・・・!」
「今更ピュア島でメルヘンみたいなコトが起こって、驚いてる場合じゃないだろ」
「でも、動物から人間に変身するヤツは、初めて見たからなぁ」
 ひかりもちょっとビックリしたように、みかどと顔を見合わせた。

「きのえくん!きのえくん!気を確かに!!」
 そんな傍ら、あおいが、カエルにキスされちゃって放心状態になってるきのえの肩をぶんぶんゆすっていた。

「だ、だからって・・・」
 あおいに肩をゆすられて、正気になったきのえくん、

「何で俺がカエルなんぞに、キスされにゃあかんのじゃーーーッツ!!!」

 怒りが頂点に達した模様。

「まーまー。ヨボヨボのカエルが、こんな美しい青年に戻るために貢献できたのだから、有難く思えよ」
「うるせー!何様だ!おまえ!!」
 本当に。

「だいたい、何で男の俺なんだよ!ささらでいーじゃねーか!」
「よくねぇよ。あんなに弱ってる、いたいけな少女のファーストキスを奪えねーだろ」
「男ならええんかー!」
「あはははは、やっぱおまえファーストキスだったんだー。こんな女っ気ねぇ島じゃしょーがねーよなー」
「笑うなー!!!」
 と、言うやりとりはおいといて。

「そっかぁ。ピュア島ではカエルが王子様になっちゃうのも、常識なんだねぇ」
 美しいカエルのガマ仙人を見ながら、ひのとが呟く。
「いや、俺たちもビックリしたケドな」
 そう言うひかりと、頷く動物さんたち。

「いいなぁ、お兄ちゃん、こんな島に1年も住んでいたなんて。僕もアメリカ留学じゃなくて、こっち留学すればよかったぁ」
「でも、ひのとの専門は機械工学だろう。ここでは学べないよ」
「あぁ、そうだね、お父様~」
「むしろ橘の専門になってくるんじゃないか。生物学的に見て、この島はどうだい?」
 突然ヴァーストに話を振られた橘は、眼鏡をキラーンと光らせて、ぽちに注目。
「非常~~~~に、興味深いですよ・・・」
 そして、いかにも何か企んでます言わんばかりの笑みを浮かべる。
 ぽちは身の毛がよだつ思いだった。

「雑談はいーから!!さっさと体を元に戻す方法を教えてくれ!!」
 あたたかい日差しに心地よい波の音。
 新しいお友達や出来事にめぐり会えた喜び。
 和みモードに入るなという方が無理なのかもしれないけれど。
 肝心の本題のみかどさん、おざなりにされてちょっと焦り気味。

「落ち着きなさいみかど。ほら、リラックスできるアイスハーブティーだよ」
「ありがとうおじさん・・・。夏の浜辺はあなたのものだね・・・」
 優雅にあしらわれてしまったみかどは、この人には敵わんと、涙を流しながらアイスハーブティーを受け取……れない(物理的に)

「確かにみかどの言うとおりだ」
 すると、みかどの言葉を聞いて、ガマ仙人はきのえをおちょくるのをやめる。
「雑談ばっかしてスクロールバーを縮めていても意味がない。早速本題に入ろうか」
 そして大きな声で、みんなに呼びかける。
 やっと本題に入ってくれるか、と、みかどは期待の眼差しでガマ仙人を見つめたが、
「あ、その前に、俺にもハーブティーくれ」
 ビリーヴにそう言う彼を見て、ちょっと凹んだ。

*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*

「それでだな」
 ハーブティーを一口飲んで、ガマ仙人は本題に入る。
「すまん、実はおまえたちにひとつ隠していたコトがあるんだ」
「???」
 ピュアくんも番人たちも動物さんたちも、何事かと、きょとんとした顔をする。

「実は、この島には番人のほかに、この島には、おまえら東西南北の番人4人と、もう一人、赤い秘石の番人がいるハズだったんだ」

 いるハズだった?
 話を聞いていたみんなは、首をかしげる。

「それからもうひとつ。今現在、赤の継承者の一族はピュア一人だケド、本当はもう一人いるハズだった」

 いるはずなのに、いない人物が二人もいる。
 けれども、ピュア島の住人にとって、その理由を考えるのは簡単なコトだった。

「16年前のあのときか・・・」
「そういうことだ」
 ひかりの言葉に、ガマ仙人は頷いた。

 ぼんやりした意識の中、ささらもひかりから聞いた話を思い出す。
 16年前、ピュア島はバロック団に総攻撃をかけられた。
 そのとき、ピュア島のほとんどの住人は死んでしまい、生き残ったのは、地底王国に避難した、この東西南北の番人と、動物たちだけ。

 その継承者の一族の一人も、おそらく、そのときに死んでしまったのだろう。
 そう思うと、ささらはまた、胸が痛んだ。

「今は東西南北の番人が、島の各方面と継承者の一族であるピュアを守ってるが、本来ならピュアを守るのは、その赤い秘石の番人の役目だったんだ」
 ガマ仙人は話を続ける。
「それで、お前ら4人が、もう一人の継承者の一族を守るハズだったんだが、現状、そいつと赤い秘石の番人がいないから、こうなってるってワケ」
 そう、東西南北の番人が、島の各方面と、ピュアくんを守っているのだ。

「僕の方が強いケドな」
「ピュア、それはいいっこなし」
 えっへんといばるピュアくんに、きのえが突っ込んだ。

「前置きはそこまでで、本題はここから」
 ガマ仙人は話の張本人、みかどの目を見てニヤリと笑う。

「実は、赤い秘石の番人の方は生きててな、今ピュア島にいるんだ」

「ええーーーーッ!?」
 突然のその事実に、みんなビックリである。

「じゃあ、この島にはもう一人、人間がいたってこと?いつから?」
「ずっとさ。ワケあって、みんなの前には出てこられなかったんだ」
 ガマ仙人の言葉を聞いて、動物さんたちは誰も見たコトがない番人について、話し出す。

「知らなかったぁ」
「なら、どうして僕たちの前に姿を現さないんだろう」
「そうですネェ。せっかくこういう飲み会とか、週一の会合とか、イベントだって色々やってるのに」
「あ、恥ずかしがりやさんなのかな?」
「あぁ、そうかもしれない!自分から参加する勇気がないのかもネ」
「じゃあ今度、みんなで遊びにいってみよう!」
「でもでも、恥ずかしがりやさんなら、あんま大人数で行っちゃうと驚かせちゃうよぉ」
「じゃあ、ここはじゃんけんで勝った上位三名が・・・」
「あー、ストップストップ」

 どんどん盛り上って行っちゃう動物さんたちを、ガマ仙人がなだめに入る。

「その番人は、恥ずかしがりやさんなワケではない」
「じゃあどうして出てきてくれないのー?」
「そいつはな、ワケあって一回死んじまったんだ。だけど、赤い秘石の力によって、この二十年近く、体とその機能の修復につとめてたってワケ」
「うわぁ、色々大変だったんだねぇ」
 動物さんたちはあっさりとその事実を受け入れるけれど、

 一回死んだ?
 体とその機能の修復に二十年間も費やした・・・?

 遠巻きに話を聞いているみかどと4人の番人たちは、驚きを隠せない。
 いくら不思議なコトが起こるピュア島とはいえど、ゾンビが出るのは聞いたコトがないぞ・・・?
 皆さん、ちょっと青ざめた。

「はいはーい、じゃあ、その人は今元気なのー?」
 すると、ひのとののん気な声が響きわたる。
 驚くそぶりなどこれっぽっちも見せず、相変わらずのマイペース。
 何かもう、動物さんたちと同レベルだった。

「あぁ、さすがに二十年近くかけたからな」
 ガマ仙人は答えた。

「ってワケで、赤い秘石のあるところへ行けば、その赤い秘石の番人にも会えるし」
 そして、ガマ仙人は再びみかどを見る。
「そいつに会えば、おまえの体もどうにかなるハズだ」

 みかどはそれを聞き、目を見開く。
「ど、どこに赤い秘石ってのがあるんだ!?どこにその番人がいるんだ!?」
 急ぐ気持ちが先走り、早口で尋ねた。

「まぁ、落ち着け。そのためには、みんなの協力が必要なんだ」
 ガマ仙人はみかどをなだめると、4人の番人を振り返る。

「ひかり、くれない、きのえ、あおい」
 そして、彼らの名を呼んだ。
「赤い秘石がある祠への案内、できるよな?」

 突然指名され、ちょっと驚いたように顔を見合わせるきのえ、あおい、くれない、ひかり。
「できるケド・・・。久しぶりだなぁ、あそこ行くのは」
「うん、滅多にあけないからね」
 ひかりの言葉を受けて、あおいは頷いた。

「そういや俺も、そんな場所見たコトねぇな」
 1年暮らしていたのにと、みかどが言う。

「よほどのコトがなければ、開けちゃいけないトコだからね。それに、僕たち4人が揃わないと、その祠は開かないんだ」
「へー、色々あるんだな」
 あおいから説明を聞いて、「のん気な島だと思ってたのに」と思いながら、みかどは納得した。

「それじゃあ、お兄ちゃんの体、元に戻るかもしれないんだね!よかったー!」
 だいたいの話のが見えてきて。
 ひのとはみかどに駆け寄り、嬉しそうに笑いかけた。

「本当に、このままじゃスキンシップもできないからなぁ」
「戻ったってやんねーからなッ」
 「はははは」と、爽やかに笑うヴァーストを、みかどはしっしと手で追い払った。

「ヒドイよみかどさーん」
「そうだよ、こんなに優しいパパなのにー」
 すると、すっかりヴァーストに懐いてしまった動物さんたちが、ヴァーストにピッタリくっついて彼をかばう。

「きっと反抗期なんだよ」
 ヴァーストは寄り添う動物さんたちに、優しく微笑みかけた
「えーい!うるさいうるさいッ!」
 反抗期(?)なみかどさんは、なおも抵抗し続けた。

 そんな和やかな雰囲気を遠巻きに見守りながら。
 くれないは一人、不審そうな顔でガマ仙人を見つめていた。

(何故ここまで詳しい・・・?)
 皆ガマ仙人の言葉を素直に受け止めていたが(基本的にのん気な島だし)、くれないだけは納得いかない様子である。

(・・・突き止めてみる必要がありそうですね)
 けれども、今はそのときじゃない。
 今は親友(一方通行)の体を取り戻すことが先決だから。
 時期を見計らって必ずと、くれないは密かに考えた。

「よし、じゃあ早速赤い秘石のある祠とやらへ向かうか」
 みかど、ガマ仙人、ピュアくん、ぽち、ヴァースト、ビリーヴ、ひのと、橘、4人の番人、動物さんたち、そしてきよてるくんの背中に乗せてもらってるささら。
 みんなでゾロゾロ移動しようというトキ、

「待てよ!」

 きのえのキツイ声が、彼らを止めた。

「おまえら、そいつと一緒に行くツモリか?」
 そしてきのえはヴァーストを睨みつける。
 ヴァーストにすっかり懐いていた動物たちは、本気で怒っているきのえを、ビックリした顔で見つめた。

「まさか忘れたんじゃないだろうな」
「きのえくん!」
 きのえが言いたいコトを察したあおいが、あわててとめに入ろうとする。
 けれども、きのえは構わず続けた。

「16年前、そいつがこの島を襲撃したんだぞ!そいつに、俺たち以外の島の人間、皆殺されたんだぞ!わかってんのか!?」

 きのえに怒鳴られて。
 動物たちは、呆然とした顔できのえを見る。
 そして言われたことを理解した頃、オロオロしながら、ヴァーストときのえを交互に見た。

 動物たちだって、16年前の事件は知っている。
 赤と青の一族の確執だってわかっている。

 だけど、この優しいみかどの父親と話すのが楽しくて、頭がその事実に結びつかなかっただけ。

 改めてそのことに気付かされ、動物さんたちは困った顔で、そして泣き出しそうな顔で、黙り込んでしまった。

「きのえ」
 ひかりが険しい顔できのえの方へ歩み寄るが、
「だいたい、そいつら赤い秘石のトコへ連れてってみろよ」
 きのえは話をやめようとはしない。

「こいつらの最終目的は赤い秘石だろ!?取られたら、それこそ俺たちは皆殺しにされるぞ!俺たちだけじゃない、世界がめちゃくちゃになる!」

「きのえ!」
 ひかりが動物たちをかばうかのように、声をあげた。
「何だよ」
 きのえはひかりを睨みつける。

「ヴァーストは今、みかどの父親として来てるんだ」
「今はそうでも、みかどの体が戻った後、どうせまたこの島を攻めに来るんだろ」
 きのえは聞く耳もたない。

「でも、きのえくん。一刻も早くみかどの体を戻さなくちゃ!みかどは一緒に島で暮らした仲間じゃ・・・」
「俺はこの1年間、一度だってみかどがこの島に住むことを、認めた覚えはねぇよ」
 あおいの言葉をもさえぎって、きっぱりと言い放つ。

 確かに、きのえはみかどが島を去るまで、一緒に過ごしていながらも、決して彼を仲間として見はしなかったけれど。

「みかどの体を戻すために、協力する義理もない」

 きのえ、あおい、くれない、ひかりの4人が揃わないと、赤い秘石と赤い秘石の番人がいる祠へは行けない。

「16年前この島を襲撃しておいて、今度は息子を助けてくれだなんて、都合よすぎだろ」

 そして、きのえは吐き捨てるように言った。

 きのえの言葉を聞いて、その場にいる誰もが黙り込んでしまう。
 浜辺には、波の音だけが響き渡った。

 そして、少しの沈黙が続いた後。

 ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・

 大気の揺れる音がした。
 そして突然、ピュア島の浜辺を何か大きいものの影が覆う。

「?」

 徐々に影は大きくなり、そしてその場を包んでいた静寂を破るかのように、何かが飛んでくる音が近づいた。

「あれは・・・!」

 空を見上げ、目に映ったのは大きな飛行船。
 そして、みかどやヴァーストにとって、見慣れたシンボルマークが刻まれている。

「まずい・・・」
 ヴァーストが言った。

「グルーヴィーだ・・・」

つづく!

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