【第1部】第5話 東の巨人は我らがリーダー


「くれないさーん」
 ピュア島でのいつもの夜。
 ささらはきのえとあおいに夕食を渡した後、くれないのところにもやってきたのだが、彼の姿はどこにも見当たらない。
「おかしいなぁ・・・。いつもここにいるのに・・・」
 そしてもう一度、辺りを見回してみると、立て札がたっているコトに気がついた。

「あれ?何これ」
 そこには“南の番人はこちら→”とかいてある。
 ささらはかかれてあるとおりの方向へと、向かってみた。

「あれ?」
 しかしたどり着いたトコロには、“↑今度はこっち”とかいてある立て札が立っている。
「・・・・えええ???」
 おかしいなぁと思いつつ、立て札にしたがって、その方向へと向かってみる。

「!!???」
 またかい!ってなカンジに、今度は“←さらにあちらへ”とかいてあるではないか!
「どこだー!!くれないさーん!!!」
 行く先行く先現れる立て札にしたがってすすみ、かれこれ30分が経過した・・・。

 そして行き着いたトコロは・・・
“行き止まり☆”
 ささらはゼーゼー息をきらせながら、少しだけ怒りを覚えた。

 すると、突然、ささらの背後の木から、誰かの気配が!!
 スーッと暗闇の中から現れたのは・・・・
「さ・さ・らさ~ん、今夜は帰しませんよ~・・・」
「ぎゃぁああああああああッツ!!!!!」

くれないでした。

「何やってんだよ、愚兄!」

 そしてささらに近づくくれないを、水をぶっかけてとめたのは、ここにはいないはずの弟さん、あおいくん。

「あ・・あおいさん・・・、さすが水使い・・・。すばらしい水の舞でしたネ・・・」
「黙れ(怒)」
 びしょぬれになっても、まだこんなコトいってられるあたり、たくましい

 そして、ふと視線をうつすと、あおいの隣りにはきのえまできているではないか。
「きのえさん、あんたまできてたんですか・・・」
「わりーか」
「ささらちゃんがいつまでたっても皿取りに来ないから、迎えに着たんだよ」
 相変わらず怒り顔であおいはいった。

 そんな三人のやりとりの合間を見計らって、ささらは三人ににはなしかけた。
「ねぇ、ちょっといいかな。東の番人さんのコトなんだケド・・・」
 三人は話をやめ、ささらの方をふりかえった。
「昨日ネ、東のほうへいってみたケド、人は一人ももいなかったんだ。ひかりさんってどんな人なのか、特徴教えてほしいんだケド・・・」
 と、ささらが尋ねると、

「208センチの巨体で」
「右目に深い傷があって」
「私たちより年上で、23歳です」
 きのえ、あおい、くれないの順番で、ひかりの特徴を即答してくれた。

(208センチの巨体で、右目に深い傷があって、23歳の大人・・・)
 ささらはきのえたちのいってくれた特徴をつなぎあわせて、自分の中でひかりがどんな人なのか思い描いてみた。
(ひ・・ひかりさんって、怖い人なのかな・・・!???)
 自分より50センチも背が高い相手が怖くないわけがない。
 右目に深い傷があるだなんて、聞いただけではあまりいい印象がない。
 加えて自分より6つも年上だなんて。
 ささらの中では、ひかりはすっかり怖いおにーさんになってしまった。

 次の日-・・・。
 いろいろ迷った末、やはり好奇心には勝てなくて、ささらは結局東の森にきてしまった。
「会ってみたら怖くないってコトだってあるかもしれないモンね」
 そう自分にいいきかせ、ささらは辺りをキョロキョロ見渡しながら、森の中を歩いていく。
 しかしよ~く考えてみて・・・

(208センチもある大きな男の人で、右目に深い傷があって、23歳の大人・・・・。だ、だめ!やっぱ怖い人像しか浮かんでこない!!)
 そして頭をかかえてその場に座り込んでしまう始末。
(で、でも!この島でこれから一緒に暮らしていく人なのよ!ごあいさつにいかないなんて、失礼よね!!)
 ささらは片手に握りこぶしを作り、すっくと立ち上がった。
(あ~~~~でも怖い!!踏み潰されちゃったりしたらどうしよう~~~!!)
 そしてまた座り込んだ。

 一人で迷いに迷って困り果ててしまうささら。
 そんな彼女をそっと木陰から見守る影があった。
「見知らぬお嬢さん、お困りのようだね」
 座り込んで考えているささらの肩をポンと叩いて、優しい紳士的な声の持ち主は現れた。
 そんなささらの頭の中は、ひかりのコトでいっぱいだったので、日本語を聞いた瞬間、即座に
「ひかりさん!?」
 と、判断してしまった。

 しかし振り返ったトコロにいたのは
「失礼な、僕をあんな巨人と間違えるなんて」


 ・・・・・・・・・・・・・大根だった。

「だっ・・・・だっ大根が・・・・!!顔・・・顔がある・・・しゃべってる!!」
 動物やきゅうちゃんのような野菜が喋るのをはじめてみたとき、驚かなかったささらも、さすがにこれが喋ったのには驚いたらしい。
 大根の根元が2つに別れ、足になっていて、あるのかないのかわからない肩に、赤いマントをつなぎとめている。

 極めつけはその顔。
 正義の味方風味に輝く瞳と光る歯は、初めて見るにはインパクトが強すぎる。

「あなたが東の番人なの・・・?」
「だから違うといっているだろう」
 ささらはすっかりパニくってしまっていた。

「初めまして。僕は正義の味方、大根のだいちゃん」
 だいちゃんは羽織っている赤いマントをバッとなびかせた。
「大根のだいちゃんって・・・、きゅうちゃんの親戚かなにか?」
「ネーミングから判断するのはよしてくれたまえ。そもそも彼はきゅうり、僕は大根ではないか」
「あぁ、そっか・・・」
 納得してしまうささらちゃん。

「きみは誰だい?」
「あたしはささら。つい最近からこの島にすみ始めたの」
「そうか、よろしく」
 だいちゃんはささらに握手を求めてきた。
 大分おちついてきたささらは、笑顔で彼と握手をした。

「僕は人々が困っているときに現れるのだ。キミは何か困っていたようだが、僕で力になれるのなら、相談に乗るよ」
「本当に?ありがとう。実はネ、東の番人のひかりさんを探してるの。会いたいんだケド・・・」
「おやすい御用さ!さぁ、僕についてきたまえ!」
 するとだいちゃんは颯爽と森の奥へと歩き始めた。
 小さな大根が人助けをしようとする姿は、どことなくほほえましいものがあり、ささらはクスクス笑いながら彼についていった。

「だいちゃん、ありがとうネ。エライのね。人助けをする正義の味方なんて」
 ささらがそういうと、だいちゃんは照れもせず、相変わらずまぶしい笑顔でささらにいった。
「はっはっは、当たり前さ。しかし、報酬は高くつくぞ」
「ふ~ん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・????」
 ささらがその言葉の意味が変だな~と思った頃に、だいちゃんはこんなコトをいう。

「そうだな、キミの場合は・・・・・600万円で手をうとう」
「ろっ・・・600万!!???しかも円!?この島はお金ないんじゃなかったの!?」
「それはこの島の常識だ。僕には通用しないね」
 何かだいちゃんの言動がおかしい。

「当たり前じゃないか。今まで助けてきた動物たちは、お金なんてわかってないから、いっても通用しなかったからね。最近は助けるのをやめているんだが・・・。まぁ、そんなコトはどうでもいい。きみのような常識人に出会えてうれしいよ」
 あ~・・・何か変なのにつかまってしまった・・・と、ささらは思った。
「とりあえず、お金は前払いとゆーコトで」
「ちょ、ちょっと待って!あたし、お金なんて持ってないよ!」
「じゃあひかりの元へ案内する役目は下ろさせてもらうよ!それでもいいのかい!?」
 だいちゃんは、ずいっとささらに押し迫った。
「ちょっと困るケド・・・でもお金は払えないから・・・・・・・・・・・・・」

むぎゅっ!!

 ささらがちょっとあとずさりしたトキだった。
 何かを踏んだ。
「あ、何かふんじゃった・・・・」
 ささらとだいちゃんは、ささらの足元を見てみた。

 ・・・・・・・・森の中で昼寝をしていた「人」の頭を思いっきりふんずけてしまった・・・・・。

「きゃ―――――ッツ!!すみません!ゴメンなさーい!!!」
 ささらはあわてて足をどけて土下座をし、ペコペコ頭をさげた。
「まったく、非常識なお嬢さんだ」
なんて、我関せずな顔でこんな言葉をはく、だいちゃん。

 頭をふんずけられてしまった人物は、大きなその身をゆっくり起こし、苦笑いをしていった。
「気にすんな。こんなトコで昼寝してた方も悪いんだから」
 優しくおおらかにいってくれはするが、ささらの方は申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

「でも・・・・」
 そういって地面につけていた頭をあげ、まともにふんづけてしまった男の顔を見たときだった。

「あ・・あれ?・・・まさか・・・!!」
 よく見ると、なんて大きな体をしているのか、この男。
 そしてきのえたちにくらべると、おおらかそうな、落ち着いた大人の顔つきをしている。
 そしてその右目の深い傷。
「あなた、ひかりさん!!?」

「ん?あぁ、そーだケド?」
 あっさり答えられはしたが、ささらのなかで、まだひかりは怖い怖いおにーさん。

「ぎゃ――――ッツ!!すみません!!ゆるしてくだせぇ!お代官様―――――――――――――ッツ!!!」
 ささらちゃん大パニック。
 一方、ひかりの方は目の前にいる見知らぬ女の子が一人でパニックしているので、何がなんだか、どう対応していいのかわからない。
 とりあえず、ここは自己紹介でもしてみるか。

「あぁ、確かに俺がひかりだぞ。東の番人で、雷使いだ」
「かっ・・・雷―――――――――ッツ!!!」
 余計彼女を驚かせてしまったようだ。

(あぁ・・・怖そうなお兄さんだと思ってたら、操るものまで怖そう~~~!!頭ふんづけたコト怒って、雷なんてだされたらどうしよう!!)
 あんたはそれをふせげるだけの能力があるでしょーに。

 そんなささらはさておき、ひかりの方はマイペースにささらのコトを考えてみる。
(しかしなんだってここに女の子がいるんだ?この島には男しかいなかったはずだが・・・)
 そして、ピンと思いつく。
「あぁ、おまえささらか!」
 名乗ってもいないのに、突然自分の名前をよばれ、ささらはさらに驚いてしまう。
「そ・・・そうですケド・・・」
「おー!やっぱりそうかー!」
 そうとわかると、ひかりは彼女の首根っこをつかんで、突然ある方向へと連れ出した。

「ちょっとツラかしてくれや」
「え!?ちょっとまってくださーい!!」
 しかしこんな大きい人の力にかなうはずもなく、ささらはやむをえず、ひかりにひきずられ、連れて行かれるハメに!
「だいちゃん、助けて~~~!!」
 一応正義の味方に助けを求めてみたが・・・

「敵わない相手と戦いたくはないんだ!頑張ってくれ!!」
 だいちゃんはひきずられゆくささらを、ハンカチをふりふり、見送ってやった。
「ちょっ・・ちょっとだいちゃん!!この白状者~~~~~~~~!!!」
 だいちゃんに助けを求めた時点で、すでに間違っていたみたいである。

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