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「まずは作戦を練らなければいけないわね」
かのみお同盟が成立してから3秒後、みおは椅子に座り直し、柔らかくしかし何故か根底にクールを感じる声色で言った。
「そうね。でも私、自分で思いつくことはすでに大体やっちゃってるのよね」
「例えば?」
「一緒に登校(強制)でしょ?一緒にお弁当(シェフに作らせた超豪華弁当。もちろん強制)でしょ?
一緒に委員会(と言う名の独裁政権)でしょ?ホントは一緒に下校もしたいんだけど、くれない様いつも倒れちゃうからなかなかねー」
「うーん。かのこちゃん、全てにおいて激しいからね」
「あんたは?」
「私は・・・きのえさんと目があっただけで頭がポウッとなっちゃうから正直よくわからないのよね」
「そう。本能の赴くままに行動してるってことなのね」
前途は多難そうだ(もちろん、くれないときのえにとってである)
みおは、頬に手を添えて溜め息をついた。
「仕方ないわ、今までのやり方を革命に導くためには、誰か第三者のアドバイスが必要ね・・・。影麿!」
みおは、自分のお抱え忍者の名を呼び、パチンッと指を鳴らす。
その声には、つい数瞬前のみおとは違う、柔らかさの欠片もない闇の響きが宿っていた。
かのこは、さすがに慣れたので動じはしなかったが、納得できない何かが常に心の底に流れてはいた。
「はっ。みお様、何でございましょう」
「聞いての通りよ。私とかのこちゃんに有益なアドバイスを教授してくれる者に心当たりは」
「は・・・恐れながら、入学の折り、ささら様の為お使いになられた策の、逆を講じられてはいかがかと」
「逆?」
影麿の言うささらの為の策とは、ささらの想い人・あおいに近づくためのラブラブ作戦であった。
この上なくどうしょうもない浮かれた作戦にも関わらず、影麿の口から出るとすごく重い感じがした。
「はい、あおい殿に近しい者として、きのえ殿とくれない殿に接触を図ったのです。つまり裏を返せば・・・」
「なるほど、きのえさんとくれない先輩に一番近しいのもまた・・・」
「あおい、というわけね」
要領を得てふむふむと頷き合う三人の姿は、やはりラブの話をしているというより、裏の世界の話をしている人間達っぽかった。
かのこもニッとして唇をなめあげているところを見ると乗り気になったらしい。
話がまとまった、とみて、みおは威厳に満ちた表情でおごそかに告げた。
「わかったわ、その作戦を採りましょう。影麿、あおい先輩を探しなさい」
「はっ」
ヒュン、とほとんどテレポートみたいな移動効果音を出して、影麿は闇(天井裏)に消え去った。
みおは俯き加減になり、前髪がその目元から鼻梁までを妖しく翳らす。
そして呼びかける。
「かのこちゃん・・・ヤるわよ」
「オッケー」
それに応えるかのこの口元にも、そこはかとなく邪悪な笑みが浮かんでいた…。
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