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あの人の近くにいたい。
そばにいたい。
声を聴きたい。
私を瞳の中に映してほしい。
あの人に構ってほしい。
反応がほしい。
一緒にいてほしい。
本当の私を瞳の中に映してほしい。
自分を偽っているなんて、きゅうくつだった。
あの人が好きだから。
二つのピンク色をした爆弾は、
同時に、弾けた。
「くれない様ー!!」
「きのえさーん!!」
ドドドドドドドド。
昔の漫画みたいな効果音で朝から好きな人の元へ走り出す。
「へっ!?」
「いっ!?」
突如響き渡る爆音に、慌てるくれないときのえ。
しかし、ここ数日平和な時間に浸ってしまっていた彼らには、状況を素早く判断して逃走するということが出来なかった。
「くれない様!ずっとお相手しなくて寂しかったでしょう?お詫びに今日はずーっとうちに泊まってって下さいな!」
「えええっ!?」
「きーのえっさん!ヨッス!元気か?私はきのえさんに会えたから超元気さ!今なら元気チャージして元気玉作れそう!」
「うわあっ!?」
「どういうことですか、あの、私につきまとうのはやめたんじゃあ…」
「お前、昨日までは普通にしてただろうが!何で突然戻ったんだよ!?」
二人の勢いにおされながらも、懸命に叫ぶくれないときのえに。
かのことみおはいっそ女神のごとく微笑んだ。
『何のことですか?』
昨日までのあからさまっぷりをきっぱりはっきり全否定する。
ここまで言い切られると、何も言い返せず、くれないときのえはがっくりと肩を落とした。
まだまだ平穏はやってきそうにない。
…いや、もしかしたら。
………一生………???
「二人とも、結局三日しか持たなかったんだね」
いつまでも追いかけっこに興じる二組の男女を見比べながら、
登校してきたあおいは苦笑した。
どんな計画を立てようが、自分の気持ちに結局二人はどこまでも正直、ということか。
「え?何が?あおいさん」
「ううん、何でもない」
隣にいたささらが聞き返す。先ほど偶然会ったのだ。
すると、爆走していたかのことみおがあおい達の姿を認めて近づいてきた。
くれないときのえは、ほっとしてすごいスピードで逃げ出す。
「やっ、あおい」
「おはよう、ささらちゃん」
「あ、ああ、おはよう」
「おはよう、二人とも」
挨拶もそこそこに、かのこはあおいの、みおはささらの肩をつかんでそれぞれ逆方向に移動する。
「え、何かのこちゃん…」
「こないだは一応世話になったから、特別にご褒美あげるわ。人気映画の一番いい席」
ピッと、一枚のチケットをあおいの手に押しつける。
「どうしたの、みおちゃん」
「うん、あのね。私映画のチケットもらったんだけど、都合が悪くて行けなくて。ささらちゃん、行かない?」
ピラリと、一枚のチケットをささらの手の上に置く。
隣同士の席。
休日の映画。
きっと、楽しいだろう。
二人は瞳を見交わし合う。
—結局私達、お互いのじゃなくてささらちゃん達のキューピッドになっちゃったわね。
—ま、いいんじゃないの。そのうちトリプルデートでもする計画の第一歩ってことで。
同盟は破棄。
友情の方は、現状維持ってことで。
いつか私も、
あの人と。
再び嵐が吹き荒れるようになった学園では、今日も沢山の声が響いていた。
明るい声とか、笑い声とか、高笑いとか、アヒャヒャ笑いとか、叫び声とか、
悲鳴とか。
今日も、平和だった。
FIN!
*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*
乙音からの感想v
わたしのお誕生日お祝いにいただきました、あわゆきさんからの小説ですv
こちらの不手際でアップが遅くなってしまい、申しわけありませんでした!(><)
ってか、ってか、どうしよう、改めて読み返して、
笑い死ぬかと思いました・・・!
もー、あわゆきさん最高ッ!大好きです!!!
わたし彼女の文章、本当に大好きです!
一文一文が、テンポのよさが、そしてさり気ないフォントサイズの拡張が、本当タイミングよくてツボにきますッ(笑)
パソの前で何度噴出しそうになるのを、あえてこらえずに爆発させたコトか!
かのこちゃんもみおちゃんの一途さ、目的達成のために努力する姿、そして己の信念を曲げないこのたくましさ、それらの描写がお見事でした!
相変わらずほけ~っとしてるささらちゃん&あおいちゃんカップルとか。
あおいちゃんのくれないさん嫌いっぷりとか。
くれないさんの孤独っぷりとか。
あ、あと影麿のさり気ない登場にもとてもときめきました!
わたしの描いた、外伝の雰囲気を残してくれたのが、とってもウレシかったです(*^^*)
また、あわゆきさんのお話は、オチというか、締め方が本当にお上手だと思いますv
すっきり読み終えられますよネ、あぁ、読んだ~!ってカンジで!
「結局、お互いのじゃなくてささらちゃん達のキューピッドになっちゃったわね」ってvvv
そしてトリプルデートでもする計画の第一歩って!
いつかそんな日が来たら、ステキだネ☆
でもゴメン、来ないと思う(本当ゴメン)
あわゆきさん、このたびはすっごく楽しい小説を、ありがとうございました~!
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