【第1部】アイ~I・eye・愛~【原案者このか執筆】

原案者このかが書いてくれた小説です!

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風が心地よい夏     彼らは出会う

 その日はとても暑い日だった。
 廊下の窓はすべて開いている。
 バロック団の若き人材を育てるここは、10歳から19歳の少年がそろっている一種の「学校」だ。
 そんな「学校」の廊下を一人、歩いていく少年がいた。

-ビリーヴ-15歳。
 この物語の主人公である。

 ここの「学校」は、今、休み時間だ。
 しかし廊下には誰も出ていない。物音一つもしない。
 そんな異常な光景を、ビリーヴはこんな風に思った。
(そんなに上に行きたいかね)

 ここの「学校」はAからFまでのクラスがあり、定期テストでそのクラスを決めている。つまり成績の良いものからA、B、C・・・といき、一番下の頭の悪い者がFクラスをなる。これは後にバロック団となったとき、エリートコースと一般コースにわけられてしまうため、下のクラスは上にあがるために、上にクラスは下に下がらないために、休み時間を返上で勉強しているわけである。
 だから休み時間に廊下や外に出るものはいない。いるとしたらその者たちは今のクラスに満足しているか、努力しなくても上のクラスにいられるものかのどちらかである。ちなみに、ビリーヴは後者の人間だ。

 なのにその日は空気がいつもと違った。静かだった廊下が、一つの足音により、静かさが壊されたのだった。
 ビリーヴはめずらしく思い、足音のするほうを振り返ったのだが
 そのとき-。

 何かがビリーヴに激突した。

 激突したものは、そのまましりもちをついて倒れてしまう。
 それと同じに激突したものは、手に持っていた書類を全部ばら撒いてしまった。

「いった~~~~~~~~~~~~いのね~~~~~~」
 ビリーヴに激突したものは、そんな声をあげる。
 見てみると、まだ若い、ビリーヴと同じような年をした少年だった。

「う~~う~~~う~~」
 少年は暫くの間、痛そうに唸っていた。

 ビリーヴのほうは一瞬何が起こったのかわからなかったが、すぐに今の状態を把握して、散らばってしまった少年の書類を集め始めた。
 そして少年に向かっていった。
「大丈夫か?」
 すると今の今まで唸っていた少年は、ビリーヴの方を見ていきなり「めがね」といった。

「え?」
「めがね・・・・ナイ・・・?」
 その言葉にビリーヴは辺りを見回して、その少年の近くに落ちているめがねを拾い、彼の手の上に置いてやる、

「sorry×2、急いでたモンで、ゴメンな」
 少年はそう言って、ビリーヴの差し出した手につかまって立ち上がろうとしたが、ふと、ビリーヴの顔を見つめた。
「・・・あんた・・・あー!やっぱりそうだぁ!!おまえビリーヴだろビリーヴ!!」
「そうだが・・・私の知り合いか?」

 知り合いにこんなうるさい奴はいない気がしたが、ビリーヴは一応聞いてみる。
 すると
「NO!!」
 という返事が返ってきた。

「・・・じゃあ何故私のことを・・・」
「有名だもんアンタ。毎回毎回涼しい顔してAクラスのトップにいるのってあんただろ!ふえ~~~~はじめてみたー。かんどー。うわーうわーうっわぁ。マジうれしー。あ!俺、レン!レンっていうんだ、よろしくな!ちなみにBクラスぅ。スゴイなぁ。俺って。今度遊びに来てくれよ・・・って、いうか書類ドコ?書類×2」

 一人でベラベラ喋って、そしていきなり書類を捜し始めた少年-レン-に、ビリーヴは自分の手にある書類を渡してやった。

「サンキュー!!って、俺もう行かなきゃ!!ぢゃな!!」
 渡された書類を持ちながら、レンはそのまま疾風のように去っていく。
 ソレを見ていたビリーヴは
「なんなんだ?あれは」
 と、呟いた。

-それが彼らの出会いであった-

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