* 2007年4月13日の作品なので、やまとさんがピュア島にいる設定になってる。
(結局やまとさんはピュア島にはいきません)
* むつきくんのキャラが確定してないので、とりあえず、銀魂の沖田を参考にしてます。
本日もピュア島は快晴。
食後の散歩にと、かなめはぶらぶらと森の中を歩いていた。
ピュア島に来てからかれこれ2週間がたとうとしていた。
しかし、都会育ちのかなめには、この島での暮しはまだ慣れない。
いや、都会育ちだからというワケではないのだろう。
ただの島ならともかく、ここは動物が口をきくのだ。
2週間一緒に共同生活をしてみても、かなめはまだ慣れなかった。
以前、ピュア島で暮らしたコトがあるささらやみかどはともかく、仲間のやまとやむつきまでもがこの島に馴染めるのは何でかと思った。
よっぽど適応力があるのか、はたまたのん気なだけなのか。
「・・・・・・・のん気なんだろうな・・・」
かなめはぽつんと呟いた。
何より、日本に残してきた新鮮組のコトが気が気でならない。
局長に副長の自分、そして一番隊隊長が不在の今、内部は一体どうなっているのか。
やまとやむつきのように、自分までもがのんびりと島生活をエンジョイできる気分ではなかった。
「・・・・・・・・・・・?」
そんなコトを考えていると、後ろから何かの気配がして、かなめは振り返る。
すると、そこには全長60センチほどの大きな一匹のカタツムリ。
見慣れない動物だったので、少しビックリしたが、それ以上にカタツムリさんの方が、かなめと目があうと(目・・・だと思う)、ビクッと体をこわばらせた。
「・・・・・・・」
かなめがじーっと見つめると、カタツムリさんはビクビクしたまま動けないでいる。
とくに何も喋らないので、ほっておくかと、かなめは再び歩き始めた。
すると、カタツムリさんはぬらぬらとくっついてくる。
「・・・・・・・・?」
かなめは足をとめ、再びカタツムリさんを振り返った。
「・・・・・・・・・」
じーっと見下ろしても、相変わらず、カタツムリさんはビクビクして動きを止めたまま。
しかし、かなめが再び歩き始めると、カタツムリさんも動き始め、彼の後ろをくっついてくる。
「・・・・・・・・・」
かなめは再び足をとめ、カタツムリさんをにらみつけた。
カタツムリさんも再び動きを止め、ビクビクして動きを止めたまま。
かなめはまた歩き始めた。
カタツムリさんはまたくっついてきた。
かなりウザかったので、かなめは歩調を早めてみた。
カタツムリってのは一般的に足がノロいので、それで撒けると思った・・・のだが

ザザザザザザザザッ!
「ええええええええ!?」
意外も意外。
カタツムリさんは物凄い速さでかなめを追いかけて来た。
「なななな何なんだ、てめーは!!」
かなめはビックリして、思わず刀を抜き、身構える。
「かっ、かなめさん!ちょっと待ってください!!!」
すると突然、ささらがカタツムリさんをかばうように、かなめの前にシュタッと降って来た。
「どわっ!」
目の前に突然女の子が降ってきたモンで、かなめ、またもビックリである。
「嬢ちゃん、何でここに・・・!」
「俺たちもいますぜ」
ささらの答えを聞く前に、今度は頭上から聞きなれた声が聞こえる。
「むつき・・・!ピュアくんにぽちまで!」
見上げると、ピュアくんとぽちを抱っこしたむつきが、お空にふよふよ浮いていた。
「おまえらまで何やってんだ」
「あーあー、怯えさせちゃって、かわいそうに」
かなめの質問には答えず、むつきはカタツムリさんを見てそう言いながら、ふんわりと地に足をつける。
言われて思い出した。
自分の後ろをくっついてきたカタツムリさんは、一体何だったのか。
カタツムリさんを見てみると、殻の中に身を引っ込め、隠れてしまっていた。
その殻は、相変わらずカタカタ震えている。
「みずほちゃん、大丈夫か」
ピュアくんが屈んでみずほちゃん−カタツムリさんの名前であろう−の殻をコンコンと叩く。
(メスだったのか・・・)
かなめは思った。
みずほちゃんはそっと殻の中から頭を覗かせ、ピュアくんとお話を始める。
言葉は発さないものの、少し身をくねらせたり、漫画でよく使う汗がピヨピヨ出る効果なんかを使って、ピュアくんに何かを訴えている。
「うん・・・うん・・・」
ピュアくんは親身になって、話を聞いてあげている。
「でも、ここまで来たんだ。頑張らないといけないぞ」
『何で言葉を発さない相手と会話できるんだろう』と、かなめは思った。
「かなめさん、どうか怒らないであげてください」
そんな様子をポカーンと見ていると、ささらがかなめに懇願する。
「みずほちゃんは今日、かなめさんに伝えたいコトがあって、ここまで来たんです」
「伝えたいコト?」
「ハイ。みずほちゃん、本当に悩んで頑張ってたから・・・。お願いです、どうかお話だけでも、聞いてあげてください!」
ささらの真剣な眼差しに、かなめは少し胸打たれたが、ってゆーか、言葉を発さない相手の話をどーやって聞けばいいのだろうと思った。
「少しは察してくだせぇ。ントに鈍い人なんだから」
むつきにため息をつかれ、かなめはちょいとカチンと来る。
どーゆー意味だと聞き返そうとすると、そんなかなめの足元に、みずほちゃんがやってきた。
かなめはワケがわからず、彼女を見下ろす。
むつきに言われたとおり、状況を察そうと思ったのだが、目はないし、口もないし・・・、ってゆーか、カタツムリから表情を読み取るのはまずムリだった。
でも、その手(?)に持っているもので、自分が何をすればいいのかわかった。
お手紙。
たぶん、これを受け取れば「お話を聞いてあげる」コトになるのだろうと思い、かなめは手紙を受け取った。
そして無事に手紙を渡すコトができると、みずほちゃんはザザザザザッと、物凄い速さでその場を去っていった。
「あ、みずほちゃん!」
「むつき、後は頼んだぞ!」
「おう、行っておやりなせぇ」
急いでみずほちゃんを追いかけるささら、ピュアくん、ぽちに、むつきは手をふった。
「カタツムリって、あんなに速かったっけ・・・」
取り残されたかなめは、ボーゼンと呟く。
「恋する乙女には何でもありでさぁ」
そのお隣で、むつきは達観したような目で、彼らが去っていった方向を見つめた。
「・・・・・・・・・・・・・・は!?」
それから5秒後。
かなめはやっと、状況が理解できた。
「こ、恋する乙女って、まさか・・・!?」
「手紙、あけてみなせぇ」
まさかまさかと思いながら、ってゆーか、もうむつきの表情からして確定だが、かなめは恐る恐る、手紙をあけてみる。
お手紙には、ハートの絵がひとつだけ、描いてあった。
「えええええええええええ!!!」
コレって、コレって、ラブレターッ!!?
「取り乱しすぎでさぁ、かなめさん。まさかラブレターもらったの、初めてですかい?」
「カタツムリからもらったのが初めてだよ!」
「カタツムリだからって差別しちゃいけねー。みずほちゃんは女の子ですぜ」
「ってか、よく考えたらカタツムリって雌雄同体じゃねーか!!男も女もあるかッ!」
「さぁ、この島ではありうるんじゃないんですかぃ」
人事だと思って、さらりと流すむつきが憎たらしくて仕方なかった。
「まぁ、どう返事を返すかはかなめさんしだいでさぁ。頑張ってください。俺もみずほちゃんトコいってこよっと」
「おい!むつき!!」
「それじゃ」
むつきはふわりと体を浮かせると、みずほちゃんたちが去っていった方へ飛んでいってしまった。
「・・・ど、どーすりゃいいんだ・・・」
みずほちゃんから受け取った手紙を持って、かなめはボーゼンと立ち尽くした。
*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*
次の日。
かなめは朝ご飯を食べ終え、散歩に出ようと家の外に出た。
そしてふと、足元に何かいるのに気がつく。
・・・・・・・・・貝。
どっからどう見ても貝。
60センチくらいの大きさのでかい貝が、足元にいる。
「・・・・・・・・・・・?」
またも見慣れない動物にどうしていいのかわからず、固まっていたら、奥からむつきが出てきた。
「あぁ、あけみちゃん」
「知ってんのか!」
すごくナチュラルに貝に挨拶するモンだから、かなめはちょっとビビった。
アコヤ貝のあけみちゃんは、かなめに向かって、お手紙をスッと差し出す。
この展開は・・・。
かなめは固まった。
何分昨日の今日だし、何かそろそろオチも近いから。
「かなめさん、むつきさーん!」
手紙を受け取ろうかどうかとうろたえていると、遠くから聞き覚えのある可愛らしい声がした。
ささらだ。
かなめは声のした方を見ると、そこにはささらと、ピュアくん、ぽち、・・・そして、みかど。
みかどを見ると、かなめは顔をしかめたが、今日は彼につっかかっているヒマはなさそうだ。
そんなピュア一家と一緒に、手紙を持った動物さんたち20匹あまりがワラワラやってきたからである。
「んなーーーーーッツ!?」
何か物凄い数のオチがやって来た気がした。
「おぅ、ささらちゃんにピュアくん、ぽち、みかどさん!あかねちゃん、かなえちゃん、しずかちゃん、ひとみちゃん、えりこちゃん、なおみちゃ・・・」
「まてまてまてまて!全員の名をイチイチ呼ばんでいいわい!」
驚きに驚くかなめの横で、むつきがのん気に手を振っている。
「何だ何だ?朝から賑やかだなー」
外での騒ぎを聞きつけて、やまとが家の中から出てくる。
「あ、やまとさん!おはようございまーす」
「やぁ、皆さんお揃いで」
出てきたやまとにも、ささらちゃんたちは元気にご挨拶。
やまとも朝から元気な良い子たちに、笑顔でご挨拶した。
「今日はやまとたちに、おすそわけを持ってきたんだ!」
「おぉ、そうだったのか。気を使ってもらって、悪いなぁ」
ピュアくんとぽちからタッパーの箱を受け取り、やまとは二人の頭をなでなでしてあげた。
「いえいえ、ちょっと多く作っちまっただけだから、どーぞどーぞ」
おすそわけを作ったご本人、みかども笑顔でやまとに返した。
「それと届けるついでに、お宅の副長さんのモテっぷりも拝見しようかと思いましてぇねぇ・・・」
そして瞬時にあくどい笑顔に変わる。
「・・・・・・・・!」
『絶対そっちメインで来ただろ、この暇人・・・!』と、かなめは思った。
「あ、あけみちゃん、ちゃんと来られたんだネ」
「ちゃんと現地集合できてよかったですねぃ」
アコヤ貝のあけみちゃんは、ささらとむつきに見守られ、ピュア一家と一緒にやってきた動物さんたちに紛れ、キャイキャイはしゃいでいる。
「お願いです、かなめさん!あけみちゃんもあかねちゃんも(中略)も、本当に悩んで頑張ってたから、どうかお話だけでも、聞いてあげてください!」
ささらの真剣な眼差しに、かなめは・・・も〜胸打たれません。
「アンタ、みずほちゃんの味方じゃなかったのか!」
「恋する乙女たちの味方です!」
言い切ったよ、この小娘。
「かなめ、真剣な女性たちの気持ちを無下に扱うなど、男のするコトではないぞ」
「うんうん、皆さんの好意は、有難く受け取らなきゃいけねぇ」
「そうそう、男なら寛大に受け取ってやんなさいよ〜」
やまと、むつき、みかども彼を諭すように言うが、後ろの人に向かうにつれて悪意が強くなってる。
「・・・・・・・・・!」
正面には説得にかかるヤツら、後ろには恋する乙女たち。
見事な板挟みにあってしまったかなめに残された選択肢は・・・、素直にお手紙を受け取るコトだけだった。
「かなめが来てから、島のカラーが一気にピンクになったなー」
「キィーキィー」
ピュアくんもぽちも、そんなパワフルなピュア島の乙女たちを微笑ましい気分で見つめていた。
−かなめファンクラブが結成されるのも、そう遠い話ではない。
*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*
お粗末様でした。
かなめさんは絶対モテると思ったんだ(笑)
むつきくんの沖田口調は、一旦諦めました(^^;)とりあえず、今回はこの口調でv
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