【紫紺和南さんからの小説】何兆分の一の確率、ありえるハズのない出会い

――――何が起きたの? 
    光が、炎が、水が、植物が――
    その後、周りが白くなっていって――――


海に囲まれた南国、パプワ島。先程から森の中で1人の青年が立ち止まっていた。
「どう…するべ」
そう言って青年―ミヤギは下を見た。困るハズです、だって知らない女の子が倒れているんだもん。
どうしようかミヤギも本気で悩み始めた時、

「ふわ…よく寝た…。…あれ?」
起きました。そしてミヤギと目が合った。
黒い髪に茶色の目―多分、日本人―全く見かけない服を着ていて年は17ぐらいのようだった。

「きのえ…君…?え?何で髪がそんな長いの?しかもゴルフウェアーもどきじゃないし!?」
しょっぱなから人間違いされてます、ミヤギ。とりあえず、訂正してもらう為、自己紹介をした。

「オラはきのえって人じゃねぇべ。ミヤギって名前だべよ」
「あ…御免なさい、私はささら。知り合いの人に似てて間違えちゃって…」
少女―ささらはぺこりと頭を下げた。
「ささら…いい名前だべな。」

ミヤギはニカッと笑って言った。

「所でオメ、ガンマ団の刺客か?」
「ガンマ…団?」
ささらは首を傾げた。その様子にミヤギは少し、疑問に思った。

―ガンマ団は世界最強の組織だ。たとえ女の子であってもその名ぐらいは基本的知識として知っている筈―

「…ま、シンタローのトコにでも連れてくべ」
もともと物事を深く考える事はしないのでミヤギは一番の妥協策をとった。


「ん…」
重い眉をゆっくり開けると潮の匂いが鼻を刺激した。
(…変だな…俺、確かあそこにいた筈―――)
「シンタローさぁんvvvv」
上手く働かない頭を動かしていると、背後から知らない声がした。何となく振り向くと…

「!!!!???」

何とそこには、足(スネ毛付)の生えたでかいタイが!
流暢に日本語を話すそれを見て、再び気が遠くなった。
「どうしたの、シンタローさん?」
(この島に、知らない動物はいねぇ筈なのに…。ていうか俺の名前はみか……)
そのまま白くなって倒れた。



じ――――――――っ。
コージはずっと起きない男を見ていた。見てないで何かしろよ、コージ。
「う…ん」
ようやく男は目を開けて、起き上がった。
「ん~、よく寝た!」
大きく欠伸をし、グッと伸びをする。そうしてから男はコージに気が付いた。

「あんた、誰だ?」
「わしか? わしはコージいうけん、ぬしは?」
「…ひかりだ」
コージはじっとひかりを見た。微妙に似た顔付き、服装はまるでどこかの守護者。
「シンタローの所へ、連れてこうかのぉ…」
考えるのも面倒なのでシンタローの所へ連れて行く事にした。



トットリは丁度スイカ畑(お約束v)へ向かっている最中だった。
「あの…」

やったら小さい声が聞こえたので立ち止まり振り替えようとすると…


「私と友達になって下さい!!!!」
「離れるわいや―――っ!!!」

抱きついて来た人物に反射的に叫んだ。そして顔を見て更に叫ぶ。
「僕ぁアラシヤマと友達になんかなれんだっちゃ―――っ!!!」
「ちょっと待って下さい!!!」
「…?」

もう1度じっくり抱きついている人物を見てみた。
「あんた誰だぁか?」

「私はくれないと申しっ…グホッ!」
くれないはそこまで言うといきなり血を吐き出した。

「ぼ…僕、ミヤギ君と約束しとるだわや…、ば、バイバイだっちゃ!!」
顔を引きつらせつつ、トットリは走り出した。後ろを見ると、しっかりくれないは追いかけていた。
「ミヤギくーん!!助けてだわや―――っ!!!」
そう叫びながら、無意識的にミヤギのいる方向、シンタローの家へ向かって行った。忍者の勘、恐るべし。



「そこにいるのは誰どす?」
先程から感じる2人の人間の気配に、アラシヤマは声をかけた。そして、出て来たのは2人の少年だった。
1人は金髪のショートヘアーをしていて目が少しつっている、美少年。
もう1人は黒髪で、不思議な髪型をしていて顔がまだ幼く見える、どちらかといえば可愛い系の少年だ。

「あんさんら、何者どすか?さっきからわての後ろ尾いて来て」
アラシヤマがそう言うと、黒髪の少年は慌てて、
「僕達は怪しい人じゃないよ。ここ、どこだか分からなかったからお兄さんの後、ついて来たんだ」
と言った。アラシヤマも嘘ではないと分かると、軽く息をついた。

「2人共、名前何て言いますのん?」
「僕はあおい。こっちはきのえ君」
「そうどすか…。わてはアラシヤマ言いますさかい、よろしゅうな」
そう会話しながら3人はシンタロー宅へ向かって行った。





ザブザブザブ…洗濯物を洗う音だけしか聞こえない。
「おい、シンタロー」
「なんだよ」
シンタローはパプワの呼び出しに洗濯物を洗いながら答えた。
「新しい友達だ」

シンタローが振り向くと、そこには小さい少年がいた。
「君、名前は…?」
「ピュアだ」
シンタローの問いに、ピュアはすぐ答えた。

「ピュア、君ね…」
「あ――――っ!」
シンタローの言葉に被さる様に女の子の声がした。

「ピュア君!」
「お、ささら」

「知り合いだべか?」
やって来たのはミヤギと、見知らぬ女の子―ささら―だった。ささらはピュアにギュッと抱き付く。

「ミヤギく――ん!」
「トットリ!?」
凄い勢いで走って来たトットリは、そのままミヤギにしがみ付いた。
「あの人怖いだっちゃ!」
そう言って示した先には、くれないがいた。

「何してんのさ、愚兄!!」
そんな声が聞こえたと思うと、大量の水が空から落ちてきた。
「あおい君、きのえ君、くれないさん!」
ささらは今更気付いた。その時、後ろからデカイ2人が来ていた。

「面白い事になってるのぉ」
コージは笑って言う。
(笑えないって!!)
数人の人間は心の中でそう突っ込んだ。

「シンタローさんvvv」
遂にタンノちゃんまで来ました。シンタローは一撃かまそうとしたが、タンノの上に誰かいるのであきらめた。
「あ、兄ちゃん」
「みかどさん!」
ピュアとささらの声がハモる。それから慌ててタンノの背(?)から降ろした。

「ヒドイのよ、シンタローさん。この人急に白くなって倒れて…」
「そりゃお前の姿のせいだ!」
シンタローは勢いよくタンノを吹っ飛ばした。
「愛は痛いわぁっ~~~!!!!」
…と、いう声を残して。

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