【第1部】ウィザード大作戦!(未完)【原案: 藍上葵さん】

「暑――――――――ッツ!!!」
 ピュア島についた松竹梅さん兄弟のファーストインプレッションである。

「って!松竹梅はやめろっつってんだろ!」
 うるさい、松竹梅三兄弟長男マツ、本名マツオ。ナレーターに突っ込むな。
「うわ、急に反抗的になったと思ったら、人の本名までバラしやがって!」
 へへーん、よく考えたらおまえら登場人物がナレーターに攻撃なんて、フツーに無理だもんなー。やーいやーい。
「っかー!ムカつくー!」
 むしろ私が適当なコトを言えば、おまえらはそのとおり動かねばならぬ義務があるのだ!

 マツはどこからかこたつを持ってきて、その中にもぐりこんだ。

「ぎゃあああ!熱ーッ!!やめろ――――ッツ!!」

 しかしマツにはどうするコトもできない。

「いきなりナレーター口調に戻らないでください・・」
 まぁまぁ、松竹梅さん兄弟三男ウメ、本名ウメオ。これが私の仕事なんだから。
「・・・!僕の本名までバラさないでください!」
 ふん、いくら本人たちがその本名を嫌っていようと、私にはその本名を伝える義務があるのだ。
 そう思うだろう、松竹梅三兄弟次男タケ、本名タケ・・・
「それより早く話し進めてよ」
 ・・・っと、そうでした。

「さて、まずみかどを探さなきゃいけないわけだケド・・・」
 タケは自分の武器である杖の先っぽをトンと、地面につける。
 そしてタケが手を離すと、杖は彼らより若干右よりの先方を向いて倒れた。
「よし、こっちだ」
 いや、『尋ね人ステッキ』かよ(byドラ)

 森の中はいけどもいけども木々と草ばかり。
 たまに赤い実がなってる木とか、大根がなってる木とか、目印らしいものはチョコチョコ現れたが、下手すると迷子になりそうな勢いだった。
 道を見失いそうになっては、タケが自分の杖を尋ね人ステッキの要領でうまく活用していった。

「ちょっと暑いケド、でもここはステキな島ですネ。でも誰にも会わないのはいったいどういうコトでしょう」
 暑いのは完全に彼らの服装のせいだと思うのだが、それはともかく、ウメはふと、疑問を口にする。
「そうだね。このくらい歩けば、住人の一人や二人、会ってもいいと思うケド・・・」
 タケも少し、あたりを見回した。


「やぁ、ふとしくん」
「やぁ、きよてるくんじゃないですか」

 そんな話をしていると、彼らの耳に、住人の声が飛び込んできた。
 なんだかくぐもったような独特の声だが、その口調のたどたどしさから、子供かな?と、松竹梅三兄弟は思った。

「今日はあすまくんと一緒に、非ユークリッド現象について話し合おうと思いましてね」
「さすがピュア島一の物知り博士ふとしくん。そんな難しい話、よくできるネ」

 しかし内容がいささか子供らしくない。
 っていうか、彼らの声とともに近づいてくる、のしのし&ぬめぬめ効果音が気になって仕方ない。

「僕は今日はとおるくんとたかしくんと一緒に、西の森にある果樹園に行くんだ。ふとしくんもよかったら、あすまくんとおいでよ」
「あぁ、いいですねぇ。今頃はベリベリの実がおいしく実ってる頃でしょうし・・・」

「・・・・・・・!!!」

 木ごしに自分たちの横をのしのし通り過ぎていく声の持ち主らを見て、松竹梅は仰天した。

 モグラとウナギが日本語しゃべってる!!
 ってか、ってか、2匹とも異様にでかいッ!!!

 思わず木の陰に隠れてしまう、松竹梅三兄弟。

「じゃああすまくんと会ったら、すぐに西の森へ向かいますよ」
「うん、待ってるね~~~」

 のほほんとした口調で、2匹は松竹梅三兄弟の存在に気づかず、スタスタと森の中へ消えていってしまった。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・見たか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・見た」
 顔を真っ青にして互いの顔を見合うマツとタケ。

「カワイかったですネー」
「マジか!?」
 でも、なかなか肝っ玉の据わった三男がいた。

「はい。だってモグラさんはモコモコしてたし、ウナギさんはウネウネしてたし・・・」
「でも、異様にでかかったじゃねーか!」
「はい。抱きつきに行ったら弾力ありそうですよネーv」
 無垢な微笑みを見せるウメに、マツはため息をついた。
「だめだ、おまえの感覚にゃついていけん・・・」

「しかし、下調べ不足だったね」
 ふとしくんときよてるくんが去っていった方を見つめ、タケがつぶやく。
「まさか人間の言葉をしゃべる動物が存在していただなんて。彼らの話を聞く限り、そういうのはまだまだいそうだし・・・」
 タケは表情を厳しくする。
 マツも眉間にしわをよせてうーんとうなった。
「今まで腕のたつ団員が失敗したのって、あの動物らにも原因があったのかもしれないな。あれに体当たりされたら、マジやばそうだし・・・」
 確かに。

「あんなのがまだたくさんいるんだぁ・・・」
 ウメはふとしくんたちが去っていった方向を、目をキラキラさせながら見つめている。
 もうすっかり動物さんのとりこになってしまったようだ。
 そんなウメに何いっても無駄だと判断した、マツとタケは、2人だけで話をすすめることにした。

「とりあえず、俺が様子見に行くわ」
 マツは指をパチンとならして、突然ほうきをキラキラした粉とともに出現させた。
「いいのかい?」
「あぁ。三人でウロウロするよりはマシだろ。どんな常識はずれのものが待ってるか、わかったもんじゃねーし」
 マツはヒラリとほうきにまたがり、体を宙に浮かせる。

「気をつけてくれよ。さっきは巨大なモグラやウナギですんだケド、どんな凶暴な動物が潜んでるかもわからないんだからネ」
「まかせとけって。スピードには自信あるからよ」
 マツはふわりと身を翻して得意げに笑う。
「それにしても、人間の言葉をしゃべる動物がいたって、さすがに空飛ぶ人間まではこの島にはいねーだろうなぁ」
 そして声をあげて得意げに笑うマツ。
 そんなマツを見て、また始まった、と、タケはため息をついた。

 そう、確かに空を飛ぶ人間なんてのは、いくらバロック団が様々な能力を持った人間が集まる場所とはいえど、ほとんど存在しなかった。
 おそらく、確認できる団員ではマツだけであろう。
 タケもウメも魔法は使えるが、体術面においてはマツより劣るので、空を飛ぶのは不可能だ。
 なので、マツの空飛ぶ能力は団内でも重宝されていた。
 マツもそのことを常に誇りに思っているのだ。
 そのトキ。

 -ヒュンッ-

 マツの横を、何かが風のように通り過ぎた。
 速さはあったが、マツもタケもその姿をしっかりととらえた。
 ついでに、いつのまにか現実世界に戻ってきたウメも、その姿をしっかりと捉えていた。
 そのものを認識してしまっただけに、三人とも驚きから抜け出せず、ぽかーんとそれがさっていった方向を見つめる。

 通り過ぎたものは女の子。
 しかもマツの横を通り過ぎたというコトは、地面からかなり離れた位置を走っていたというコト。
 ・・・っていうか。

「・・・・・・・・空、飛んでましたネ・・・」

 ウメがぽつんと呟く。
 そう、空飛ぶ女の子が、マツの横を風のように駆け抜けていったのだった。

 マツは呆然と、女の子が去っていった方向を見つめる。
 ってか、ついさっきまで高笑いしていたマツのプライド、ズタズタである。

「へぇ、あの子、何の道具も使わないで自力で飛んでたよネー」
「スゴイですねー」

 さりげない弟たちからの追い討ち。
 マツのプライド、さらにズタボロである。

「しかも結構かわいかったし。今の子」
「すごーい、タケ兄さん、顔までちゃんと見えたんですか?」
「僕にかかればワケないさ」
 タケは女の子好きだった。

「あんなスピードでどこまで行くのか、気になるな。よし、ちょっと行ってくるよ」
「え、ちょっと兄さん・・・!」
 ウメが止めるのも聞かずにタケは走り出し、杖を一振りして、ちょっと進化したモーター式のスケボーを出す。
 そしてそれに身軽に飛び乗って、ものすごい速さでその子をおいかけていった。
 いつもクールなタケは、女の子が絡むと結構突っ走るタイプだった。 

 また、一方マツも、徐々に落ち込みモードから離脱し始め、嫉妬の炎をともし始めていた。
「くっそー!なんなんだ、あの小娘!!ちょっと自力で浮いてるからっていい気になるなよ!どちらが速いか、勝負だーーーッ!!」
 熱くなりまくっているマツは、再びヒラリとほうきにまたがる。
 そしてウメが止める間もなく、ものすごいスピードでタケと同じルートを爆走、否、爆翔していった。
 いつも粗野で乱暴なマツは、そのまんま単純かつ熱い男だった。

「もう・・・」
 一人取り残されてしまったウメは、当初の目的をすっかり忘れて突っ走ってしまう兄たちに思わずため息。
 ここは一人でも本当の目的を果たすために、みかどを探しに行くべきか。
 ウメはちょっと悩んだ。

 ・・・・でも。
(兄さんたちも好き勝手やっているコトだし・・・)
 ウメは思った。

「僕は動物さんたちに会いに行こうかな!」
 そして自分も好き勝手するコトに決めた。
 一見よい子ちゃんなウメは、かなりのマイペースかつなかなか度胸のある男だった。

つづく!

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